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サクサク消せる爽快パズル「ガーデンテイルズ」

「約70年前のアニメ制作現場」や「24年前のオタク部屋」にタイムスリップするメタバースがすごい 新鮮さと懐かしさが同居する“新たな遊び場”を体験

Real Sound

 ライブアクション・スタジオの隣にはアトリエがあり、ここでキャラクターデザインやイメージボードなどが制作されていた。当時のアニメーションの企画は、絵描きスタッフ主導で立ち上げられていたそうで、このアトリエで生まれた絵やキャラクターをベースに企画が考えられていたとのこと。このアトリエには、当時使われていた絵具や設定資料などが置かれていて、当時の雰囲気を感じ取ることができる。

 東映動画スタジオは3階建てとなっており、入口向かいにある階段から上階に上がれるようになっている。2階に上がるとまず目に入るのは所長室。ここには、大川博 初代東映動画社長の写真が飾られている。

 所長室の隣にあるのが企画室。ここでプロデューサーや演出陣が企画を練っていたそうだ。企画室の奥には演出室があり、ここにも木の机が並んでいる。まるで朝の連続テレビ小説『なつぞら』の世界に迷い込んだような気分になった。

 企画室の向かいは撮影室やライブアクション・スタジオを2階から見下ろせるようになっており、ここで改めてマルチプレーン・カメラの大きさを実感できる。

 3階にはアニメーターの部屋(原画・動画)がある。机が左右にずらりと並べられていて、ところどころに原画など当時の資料が置かれていた。簡便な仕切りの向こうには制作進行室があり、さらに奥にはトレース室を発見。原画や動画からセルに転写する作業も当時は手作業だ。さらに奥には彩色室があり、ここでセルに色を塗っていた。セルのトレースと仕上げが隣り合っているのは、たしかに作業効率が良さそうだ。

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 すぐ隣には編集室がある。当時はフィルムで撮影を行っており、編集作業もフィルムを切り貼りしていた。そして、隣り合って試寫室が構えられており、ここで編集した映像を確認していたようだ。当時は、ビデオもパソコンもない時代なので、映像の具合を確認するには映写するしかなかった。すぐ脇には録音室もあり、ここで映写をしながら、アフレコ作業も行っていたようだ。

 すべてのアニメ制作機能を網羅しており、スタジオを回ると、当時、アニメがどのような手順で作られていたのかがよくわかる構造になっている。机やロッカー、壁の汚れなどもリアルで、東映動画の初期を体感できる空間だ。

〈1999年のオタク部屋にタイムスリップ 懐かしの“あのお菓子”やウォッチパーティも〉

 「ONN’ON STUDIOS」のもうひとつのワールドは、「Onnon_Nostalgia1999」だ。

 これは、“1999年7月の男子高校生のオタク部屋”を再現したもの。ソニーの協力を得て制作されており、懐かしいソニー製品と東映アニメーション作品のグッズが六畳一間に所狭しと置かれている。また、部屋に置かれているブラウン管テレビ「トリニトロン」でアニメ鑑賞会ができる「Watch Party」を定期的に開催しているのも特徴だ。

 この部屋は6畳と狭い空間だが、意外にも見るべきところはたくさんあって探検しがいがある。壁にはびっしりとポスターやTシャツなどが飾られているが、特に多いのは松本零士関連作品。この部屋の主は松本零士のファンという設定のようだ。だが、中には『デジモンアドベンチャー』の当時のポスターも見える。

 ベッド脇にはVHSのテープが大量に置かれていて時代を感じさせる。音楽も好きなようで、ギターなど音楽関係のアイテムも豊富に置かれている。

 部屋には、当時のお菓子が実名で並べられているが、わざわざ各会社に許諾を取ったそうだ。机の上にあるノートには、隠し部屋に行くための謎解きの質問が書かれている。部屋のどこかにあるMDとフロッピーディスクを集めると解けるようになっているので、探してみよう。

 テレビ脇の机には、当時のソニーVAIOのデスクトップPCが置いてある。1999年は、またブロードバンドが本格開始前なので、この部屋の主はテレホーダイなどでインターネットに接続していたのだろうか。

 ギターを上ると押し入れの中に入れるようになっている。この押し入れは秘密基地のようになっていて、ディスコのような飾り付けの中に、『おジャ魔女どれみ』のポスターが隠れるようにして貼ってある。当時の男子高校生にとって、『おジャ魔女どれみ』が好きなことはちょっと恥ずかしいものだったので、隠すように貼っていたのだろう。時代が1999年であるため、ノストラダムスの大予言を踏襲した雑誌『ムー』も置かれている。

 この空間は、ほかのユーザーと好きなアニメなどについて語り合う場でもあるため、自分の趣味嗜好を選べるウィンドウが押し入れの中にある。好きなジャンルをポインタで選ぶと、自分のアバターの頭上に表示されるようになっている。

 部屋にはカセットテープ用のウォークマンやAIBOなどの懐かしのソニー製品もたくさんおいてある。当時、AIBOは高価なものだったため、この家は割と裕福だったのかもしれない。

 パソコン机の後ろには模造刀が置いてあるのだが、ここからテレビに上ることができ、『銀河鉄道999』のメーテルのフィギュアの裏にも回りこめるようになっている。

 この部屋のBGMには、当時流行ったユーロビートの音楽が流れており、一定の時間にパラパラを踊るキャラクターが出現するなど、細かい仕掛けが施されている。

 「ONN’ON STUDIOS」は、今年新たに「Onnon_ImaginaryPARK2070」のオープンを予定しているとのこと。これは「1956年の大泉学園」、「1999年の秋葉原」、「2017年の羽田空港」、「近未来(2070年)の渋谷」の4つのエリアからなる空間とのことだ。

 今回体験させてもらった2つの空間は、いずれも東映アニメーションらしさに溢れていた。日本で最も長い歴史を持つアニメスタジオなだけに、これからも豊富なIPを生かした展開が期待できそうだ。

(取材・文=杉本穂高)

『白蛇伝』(C)東映、『大空魔竜ガイキング』(C)東映アニメーション、『銀河鉄道999』(C)松本零士・東映アニメーション、『 デジモンアドベンチャー』(C)本郷あきよし・東映アニメーション、『 おジャ魔女どれみ』(C)東映アニメーション

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