
大阪交響楽団 常任指揮者 山下一史 (C)飯島隆
「マエストロ、笑顔でお願いします!」の声に、素敵な笑顔で写真撮影に応えてくれるのは、大阪交響楽団の常任指揮者就任1年目を終え、2年目のシーズンに向かう指揮者 山下一史。エンタメ特化型情報メディア「SPICE」だけに、熱い思いを語ってくれた。
―― 常任指揮者就任から1年が経とうとしています。1年目のシーズンを振り返ってみて如何でしたか。
定期演奏会が2回と名曲コンサートが1回、そして私がポジションを持っている3つのオーケストラ(大阪交響楽団、千葉交響楽団、愛知室内オーケストラ)の合同演奏会を指揮しました。それらのコンサートを通してメンバーとの相互理解が深まったように思います。
大阪交響楽団、千葉交響楽団、愛知室内オーケストラ合同演奏会(2022.7.29愛知県芸術劇場コンサートホール)
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―― 3月の定期演奏会、シューマンとメンデルスゾーンを取り上げたロマン派プログラムを聴かせて頂きましたが、非常に喜びに溢れた演奏会でした。シューマンのピアノ協奏曲を弾いた河村尚子さんの存在が大きかったと感じました。技術的なことはもちろんですが、彼女の笑顔は奏者も聴衆も、周囲の人を幸せにする力がありますね。
おっしゃる通りです。先日、テレビで河村さんが弾くラフマニノフの2番の演奏が放送されていて、見入ってしまいました。とても魅力的な演奏だったのですが、彼女の本当の良さが出るのは、私はドイツロマン派の音楽だと思っています。以前、仙台フィルの定期演奏会でシューマンのコンチェルトをご一緒して、その時の演奏があまりに素晴らしかったので、今回もシューマンをお願いしたのです。彼女のアンコール曲、シューマン=リストの「献呈」を聴くお客様の表情を拝見していて、喜んで頂けたことがわかり、嬉しかったです。前半がシューマン、後半がメンデルスゾーンと同じ時代を生きながらも、個性も作風も対照的な二人の作品を並べました。

ピアニスト河村尚子、常任指揮者山下一史 写真提供:大阪交響楽団
―― 二人の作風の違いを、大変興味深く聴かせて頂きました。来年度も定期演奏会を2回、名曲コンサートを1回指揮されますが、他に「フェニーチェ堺名曲シリーズ」が新たに加わりました。フェニーチェ堺を会場にした主催公演は特別な意味を持つコンサートだと思います。
大阪交響楽団は堺市に本拠地を置くオーケストラで、堺市民が誇りに思って貰えるようなオーケストラを目指しています。そのためには、地元堺でのコンサートが大切となります。フェニーチェ堺が開館4周年を迎える今年、ようやく念願が叶ってフェニーチェ堺での自主公演が決まりました。定期演奏会ではなく、もう少し気軽に来ていただきたいという思いを込めて「フェニーチェ堺名曲シリーズ」としました。

「堺に本拠地を置くオーケストラとして、堺市民が誇りに思える存在にならなくては」 (C)H.isojima