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美しい着物姿を目にして…家族思いの少女が志したのはまさかの「花魁」!?

幻冬舎ゴールドライフオンライン

偶然の出会いこそ、魂が探していた学びの相手だった! 名前も知らないあの人も、本当はずっと昔からつながっていた、約束の人なのかもしれない。姿かたちを変えて紡がれる、命の旅の物語。※本記事は、宙舞えみり氏の小説『Someday, Somewhere!』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

第二楽章 苦悩と悲しみの連鎖

Ⅱ 家族を守るために

あるとき町中で、初めて目にした花魁(おいらん)の姿に、碧衣は目を奪われます。

「なんて綺麗なんやろう」

歩く姿にも、顔の表情にも、身のこなしにもすべて、女性としての最高美を言葉にならない感覚として、碧衣はキャッチしたかのようでした。

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その晩、碧衣はなかなか寝付けない夜を過ごしました。昼間に初めて見た花魁の姿が頭から離れず、ほぼ一晩中、想像を巡らせていました。

翌日、仕事を終えると、奉公先の旦那さんに時間を作ってもらい、碧衣は真剣な眼差しで旦那さんに、どうしても聞きたかったことを伝えたのでした。

「昨日、あでやかな着物を着た人を見たのですが、あの女の人はなんなのですか?」

旦那さんはまだ何も知らないであろう碧衣に、ゆっくりと説明をされました。女郎が男の人の相手をするとはどういうことなのか。女郎になるためには、たくさんの芸事や教養も必要なこと、花魁になれるのはほんのひと握りの女郎だけであること、またそこは、とても厳しい世界でもあることなどについて、碧衣は黙ったままじーっと聞いていました。

碧衣の頭の中では、ぐるぐるといろんなことを想像していました。学問も芸事も知らない碧衣には、女郎なんて到底できっこない。いったいこの子は何を考えているのだ。せっかくうちで、ようやく使えるようになってきたところなのに、今更なにを言い出すのやら……。

旦那さんはまさか、女郎になりたいなんぞ言い出すまい。ただ初めて見た珍しさから聞いてきたのだろうと、軽く思うことにしたようです。話を聞き終えた碧衣は丁寧にお礼を述べ、部屋をあとにしました。

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