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<天国大魔境>森大貴監督、“アニメの責任”は原作の魅力を生かし ゆがめずに伝えること

WEBザテレビジョン

『このマンガがすごい!2019』オトコ編で第1位に輝いた、石黒正数原作の「天国大魔境」がTVアニメ化され、4月1日(土)よりTOKYO MXほかで放送がスタートする。このほど今作で監督デビューを果たす森大貴監督にインタビューを実施。注目作のアニメ化についての思いや見どころなどを語ってもらった。

■近未来の日本を舞台にしたSFアドベンチャー

同作は、未曾有の大災害によって廃墟と化し、“人食い(ヒルコ)”と呼ばれる異形の化け物が巣食う、近未来の日本を舞台にしたSFアドベンチャー。東京・中野で便利屋を営む少女・キルコは、とある女性から「この子“天国”に連れて行って―」という依頼を受け、託された少年・マルと共に“天国”を探して旅を続けている。

一方、壁に囲まれた“学園”と呼ばれる場所では、子供たちが穏やかな日々を過ごしていた。ある日、学園に暮らすトキオは、「外の外に行きたいですか?」という謎のメッセージを受け取ったことを機に、日常に違和感を持ち始める。そんな2つの世界を行き来しながらストーリーが進んでいく。

同アニメは地上波テレビ放送の他、ディズニープラスでも4月1日(土)夜10:00から世界見放題独占配信される。

――本作の監督を担われることになった際のお気持ちを教えてください。

まずは自分に務まるのかという不安がありました。ただ、アニメーションプロデューサーの大平(将史)くん(Production I.G)とは演出を始めた頃からの長い付き合いなので、彼となら一緒にやっていけるかなという思いはありました。

――アニメのPV、またSNSには、期待されているファンからの好意的なコメントが多く寄せられていますね。

本当に身が引き締まる思いです。期待していただいた分、ちゃんとしたものを作らなければという思いがより強くなりましたし、皆さんの期待に応えられれば良いなと思っています。

■特に意識したのは“アクションシーン”

――原作の魅力を教えてください。

最初に読んだときは、不思議な印象を受けました。マル・キルコの“魔境”側と、トキオたちの“天国”側でわりとはっきりと世界観が分かれているのに、一つの作品に違和感なく共存している。片方を読んだらもう片方が気になるし、伏線を含め要素が多い中、矛盾なく一つの作品に収まっているのがすごいなと。先が気になって、どんどん続きが読みたくなります。

――アニメ化されるにあたって、特に意識されたポイントはどこですか?

まずはアクションシーンですね。音や動きがつくことで、より映えるだろうと思いますし、だからこそアニメーションでやる意義がそこにはあると思っているので、力を入れられればと。あとは漫画だと基本的にはモノクロなので、廃墟の風景や学園など、彼らが生きている世界に色をつけて表現することで、より魅力的に見せられるように意識しています。

――本作に登場するキャラクターはそれぞれ個性的。主要キャラクターとなるマル、キルコ、トキオの3人はどのような人物だと捉えていますか?

マルに関しては、すごく純粋でまだ何も知らない感じなんだろうなと。変に擦れていなくて明るいところは魅力的だと思います。マルは自分の過去を知らないところからキルコと出会い、だんだんと自我を持っていく印象があり、キルコと出会わなかったらどうしていたんだろうなと思うことはあります。何も感情も伴わず、ただただ日常を過ごしていたんじゃないかと。

一方、キルコはキルコで複雑な境遇にあり、一人で抱えるには重過ぎる過去を持っているので、キルコもマルと出会わなければ、それはそれで潰れていったんじゃないかという気はしているんですよね。この2人を語る上で、お互いのことを無しには語れない。相互補完的な関係なんだと思っていますね。

そして、トキオは純粋な思春期みたいなキャラクターですね。マルとは違う純粋さを持っていて、マルはわりとしんどいことも経験してきている中で純粋さを保っている印象ですけど、トキオは外圧にさらされずに生きてきているんですよね。思春期に生まれるいろんなものへの興味だったり嫌悪感だったり、そういうものを象徴しているキャラクターなのかなと思っています。

――ちなみに森監督の推しキャラは誰ですか?

学園の園長や、マルとキルコが出会うジューイチのような個性の強いキャラクターは、単純に制作する上で楽しいですし、個人的にも好きですね。ただ、多くの方はミミヒメが好きなんじゃないかなと。誰よりもヒロインっぽい感じがして、愛されている気がしています。

■クリエーターを目指すきっかけは大学の先輩

――監督が今のお仕事を目指したきっかけは何でしょうか? 影響を受けた作品やクリエーターの方がいらっしゃったら教えてください。

そうですね、きっかけというと、たまたま大学の先輩に「イヴの時間」の監督もされている吉浦康裕さんがいらっしゃったことですかね。交流があったわけではないんですけど、個人でもこういうものを作れるんだな、すごいなと思い、そのあたりから実際に仕事にすることを考え始めたかもしれません。

――では、本作を通して視聴者に伝えたいメッセージはありますか?

原作内に、すでに石黒先生の伝えたいメッセージが込められていると思いますので、制作側が別の何かをプラスで乗せるということはないですが、この作品は本当に要素が多く、災害、テクノロジー、ジェンダー的な観点など、さまざまな角度から見ることができます。そういったちりばめられている要素の中のどこを拾ってどう楽しんでいくかというのは、見る人がそれぞれ取捨選択していただけたらいいなと思いますし、それができる懐がある作品だとも感じています。だから、僕としてはそこをあまりゆがめない形でちゃんと伝えるのが、アニメを作る上での責任だと思っています。

――最後に、序盤の見どころを教えてください。

1話から伏線が張られていくので、謎が気になるとか、マルとキルコが廃墟を旅する世界観が好きとか、色々な観点で見てもらえたらうれしいです。制作側としては、1話の制作が一番難しいですね。導入部分なので、世界観やキャラクターを好きになってもらいたいですし、この先を見たいと思ってもらえたらいいなと思い、作りました。

2話以降はアクションシーンもあり、ストーリーも動いていくので、毎話、分かりやすく見どころが出てくると思います。ご期待を裏切らないよう、また皆さんに楽しんでいただけるように、スタッフ一同、一生懸命制作していますので、ぜひ応援していただけたらうれしいです。

◆取材・文=Rum

 
   

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