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名優の繊細な演技を堪能『生きる LIVING』、全世界が関わる社会問題『トリとロキタ』など週末観るならこの3本!

MOVIE WALKER PRESS

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、ノーベル賞作家カズオ・イシグロが黒澤明の『生きる』(52)をリメイクしたヒューマンドラマ、名匠ダルデンヌ兄弟が身分を偽り生き抜こうとする移民の少年少女の過酷な姿を描いた社会派ドラマ、松山ケンイチ&長澤まさみが初共演し、介護を巡る事件に切り込んでいくサスペンスの、考えさせられる3本。

■ピュアに心洗われる仕上がりになった…『生きる LIVING』(公開中)

世界の多くの映画人がいまも敬愛する黒澤明。その監督作の中でも最もストレートに“感動できる”と言っていい不朽の名作。それをリメイクするなんて!しかも70年を経て、舞台をイギリスに移しての製作…と不安もよぎったが、オリジナルを知る人はその真髄が受け継がれたこと、そして重要なシーンの新たな描かれ方など満足度が高く、そうでない人はピュアに心洗われる仕上がりになったと断言したい。

舞台は1953年。当時の映画を意識したオープニングクレジットから、いきなりタイムトリップした気分になるのは映画のマジック。ファッションも含め、人々の佇まいも細部まで時代のムードを伝える、端正な映像に感心するばかり。一見、違和感のあるカメラアングルが、じつは登場人物の複雑な心情を表現していたり、演出も凝っている。そしてなにより、アカデミー賞候補にもなったビル・ナイ。主人公の悲哀と希望、最後の仕事への覚悟を、繊細の極みといえるテクニックで体現。観る人を心から感動させるのは、大げさな熱演ではないことを、名優が教えてくれる。(映画ライター・斉藤博昭)

■監督の強い憤りや思いに誰もが胸を刺し貫かれる…『トリとロキタ』(公開中)

2度カンヌ国際映画祭パルム・ドール(最高賞)受賞のダルデンヌ兄弟が、昨年のカンヌで75周年記念大賞を受賞した社会派ヒューマン・サスペンス。移民という全世界が関わる社会問題をテーマに据えながら、説教臭さ皆無の、なんたる面白さ!相変わらず説明描写や音楽は最小限にして、観る者の興味や集中力や緊張を高め続けて止まない。

主人公はアフリカから海を渡ってベルギーにやって来て、ビザ取得のため姉弟を装う10代の2人。2人はただ、この平和の地で真面目に働き、または学ぶことだけを望んでいるのに、なぜそれが叶わないのか。2人の前に立ちはだかるのは法やルール、搾取せんとする雇い主や同郷の移民斡旋業者、さらに故郷の母親からの金の無心まで!護られるべき子どもが、寄ってたかって大人たちに追いつめられる理不尽に、涙目になりながら動悸を速めてしまう。だが同時に、本当の姉弟以上に互いを思いあう姿に胸を揺さぶられ、また大柄の姉が小柄な弟を精神的に頼る関係性もどこかユーモラスでもある。そうして緊迫感を湛えたまま、ラストまで一気。衝撃のラストシーンに込められた、兄弟監督の強い憤りや思いに誰もが胸を刺し貫かれるハズだ。(映画ライター・折田千鶴子)

■それは他人事ではなく、誰もが避けては通れない命題…『ロストケア』(公開中)

自分が担当する42人の老人を殺害した介護士の斯波(松山)と、法の名のもとに彼を裁こうとする検事の大友(長澤)。初共演の松山ケンイチと長澤まさみがそんなただならぬ関係で激突する本作は、現代社会の問題をエンタテインメントの形で抉りだし、観る者に突きつける衝撃の社会派サスペンスだ。

斯波が42人もの命を奪ったのはなぜなのか?殺したことは認めながらも、それは「殺人」ではなく「救い」だと主張する彼の証言が意味するものは?そんな斯波と彼の行為は身勝手な犯罪と糾弾する大友とのガチバトルがとてつもない緊張感のなかで描かれ、その行方を見守ることになるが、それは同時に松山と長澤の芝居を超えた本物の衝動を目撃するスリリングな体験でもある。

まるで神の如くブレることのない涼しい瞳の松山と、彼の発言によって揺るぎない表情を歪ませる長澤。そんな彼らの魂のパフォーマンスと関係性の変化が、この国が見過ごしている介護の現実やそれに伴う“家族”というものの呪縛を浮き彫りに。それは他人事ではなく、誰もが避けては通れない命題。そのとき焦らないように、本作を観て対策を考えておくといいかもしれない。(映画ライター・イソガイマサト)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼
 
   

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