
シディ・ラルビ・シェルカウイ、石橋静河、窪田正孝、田中哲司(前列左から)、村田寛奈、宮下今日子、板垣瑞生、永田崇人、坂ノ上茜(後列左から)
新宿の新たなランドマークとなる「東急歌舞伎町タワー」6階に完成する新劇場「THEATER MILANO-Za」のこけら落とし公演として上演される『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』。これまで多くの人々を魅了し続けてきた『エヴァンゲリオン』が今回、舞台となり、新たなエンターテインメントとして繰り広げられる。
2023年3月29日(水)、オープン前の同劇場で製作発表が行われ、本作の構成・演出・振付を手掛けるシディ・ラルビ・シェルカウイ、出演する窪田正孝、石橋静河、板垣瑞生、永田崇人、坂ノ上茜、村田寛奈、宮下今日子、田中哲司が登壇。会見の様子を写真とともにお伝えする。
【STORY】
人生にかけられた重い枷。そこから目を逸らして生きてきた渡守ソウシ(窪田正孝)。贖罪、そして再生のため、彼は世界の秘密を解き放つーー。
15年前、世界各地に謎の「侵略者」が出没。公式には日本のある集落に巨大隕石が落下し巨大なクレーターが生まれ、そこから「宇宙からの侵略者、使徒」が出現したと発表される。
使徒に対抗するため、特務機関「メンシュ」最高司令官、叶サネユキ(田中哲司)は部下の桜井エツコ(宮下今日子)とともに四体のエヴァンゲリオンを開発。サネユキは自らの息子トウマ(永田崇人)をパイロットとして搭乗させる。さらに、現場指揮官のイオリ(石橋静河)のもと、ヒナタ(坂ノ上茜)、エリ(村田寛奈)、そしてナヲ(板垣瑞生)ら少年少女もパイロットとして秘密裏に配属され、彼らにはその任務の証としてブレスレットが与えられている。
ある朝。ヒナタ、エリ、ナヲが中学校の教室で話をしていると、そこにトウマが現れる。トウマは「僕らがやってることのすべては嘘の上に成り立っている」と言ってブレスレットを外し、この世界から消失するーー。
トウマの生死が分からず、それぞれに動揺する人々。だが、サネユキは感情をあらわにすることなく、対応策をエツコに指示する。15年前、幼い頃に巨大隕石事故で両親と故郷を失ったイオリは、使徒がその惨劇を引き起こしたと信じ、使徒たちを倒すためにメンシュに参加。現在は司令官として前線に立っている。
次々と襲来する使徒。しかしパイロットたちの思いはさまざまで、やがて彼らの思いはすれ違っていく。そしてイオリも自らのパイロットたちへの対応に疑問を持ち悩む。
イオリの前に大学時代の友人であり、恋人だったソウシ(窪田正孝)が現れる。ソウシはイオリのことを気遣いつつ、エヴァパイロットが通う学校の臨時教師になったことを告げる。
そして三度目の使徒襲来で起きた意外な出来事を通じて、人々の心は大きく動き始める。真実が次々と明らかに、そして驚くべき結末へと向かっていく。
深みがあり、世代を超えて語り合うようなものがたくさん描かれている
構成・演出・振付のシディ・ラルビ・シェルカウイ
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ーーまずはこの作品を構成・演出・振付を手掛けられることについての思いを教えてください。
シディ・ラルビ・シェルカウイ(以下、ラルビ):まずはここにいられることをとても嬉しく思っております。このプロジェクトを手掛けるとなったとき、とてつもない責任感を感じました。というのも、自分が育ったヨーロッパ、そして、世界中で『エヴァンゲリオン』という作品は大きなインパクトを持っている作品だからです。この全てが始まったばかりの新しい劇場から、その舞台作品を発信するということ。圧倒されるような大きなものに挑む心構えを持ちました。
僕としては俳優の皆さん、そしてダンサーの皆さん、 そして一緒に作品を作る作曲家、映像クリエイターら、すべての人たちのそれぞれのメディアを通して、原作の『エヴァンゲリオン』という作品への敬意、尊敬をどうやって表していくかということを考えております。そのことが今とても楽しみです。
『エヴァンゲリオン』という作品は、すごく深みがあり、世代を超えて語り合うようなものがたくさん描かれている作品だと私は思っています。つまり、過去が現在に語りかけ、未来を可能にする。そういった印象を受けております。

窪田正孝
ーー稽古の手ごたえはいかがですか?
ラルビ:とても楽しいです。様々な舞台芸術の表現を組み合わせているんですね。つまり、俳優の皆さんがお芝居からダンスや身体表現へ行ったり、ダンサーの皆さんがダンスの表現から芝居へと入っていったり、あとはパペットを使ったり、映像を使ったり。そういったいろいろな表現言語を組み合わせて、世界を表現していくということがとても楽しいし、それをとても大事にしたいと思っております。
ここ数日間の稽古の中で、根幹をなすような大事なことが見えてきたなという風に思っております。今ここにいらっしゃる素晴らしい俳優の皆さんとお会いして、お話しして、一緒に作業できること、改めてとても嬉しく思っております。
窪田正孝「好奇心や冒険したくなるような気持ちが先行した」
ーー俳優の皆さまにお聞きします。出演が決まったときの感想や、作品にかける意気込みを教えてください。
窪田正孝(以下、窪田):(企画・製作の)Bunkamuraがものすごい無謀な挑戦をしたなと、 僕は正直思ったんですけど(笑)、そこに飛び込んでみたいと思えたのは、役者という体現者としてのいい意味での呪いというか、性(さが)というか、その無謀な挑戦にこそ行きたくなる好奇心や冒険したくなるような気持ちが先行したんです。
この『エヴァンゲリオン』という作品は僕も大好きで、この世界の今の現状、この先の全てを謳っているような作品だと思っています。いろいろな情報がたくさんあって、その情報に埋もれて、正しい情報や意思疎通みたいなものがどんどんデジタルになっていき、アナログなものがどんどんなくなっているけれど、演劇という唯一役者が体現して、直接お客様と向き合った瞬間に、この舞台が完成して、きっとこの作品をやる意味が、ひとつの新しい生命のように生まれるんじゃないかなと思っています。そこに向けて全力で頑張りたいと思います。

石橋静河