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FRUITS ZIPPER、fishbowl、タイトル未定、iLiFE!…『アイドル楽曲大賞2022』コロナ禍以降に誕生したインディーズアイドルの躍進

Real Sound

アイドル楽曲大賞2022

 アイドルが1年間に発表した曲を順位付けして楽しもうという催し『アイドル楽曲大賞』。11回目となる2022年度の『アイドル楽曲大賞』インディーズアイドル楽曲部門では、ヤマモトショウの提供楽曲であるFRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」、fishbowl「熱波」の2曲が1位に輝いた。『アイドル楽曲大賞』及び『ハロプロ楽曲大賞』の歴史を振り返っても、1位が同ポイントで2曲選ばれたのは初の出来事である。3位以下にはタイトル未定、tipToe.、ばってん少女隊のほか、iLiFE!といったコロナ禍以降に誕生した現在勢いを見せるグループもランクインしている。

(関連:アイドルシーンで加速する人材の流動化 “前世持ち”メンバー加入のメリットとデメリット

 リアルサウンドでは今回も『アイドル楽曲大賞アフタートーク』と題した座談会を開き、ライターとして企画・編集・選盤した書籍『アイドル楽曲ディスクガイド』を著書に持つイベント主宰のピロスエ氏、コメンテーター登壇者からはアイドル専門ライターであり、『VIDEOTHINK』制作・運営に携わる岡島紳士氏、著書に『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』を持つ音楽評論家の宗像明将、日本各地を飛び回るDD(誰でも大好き)ヲタの中でも突出した活動が目立つガリバー氏に参加してもらった。

 なお、今年のアフタートークでは、ランキング10位までのアイドルをメインに扱い、タイトル未定、ばってん少女隊といった20位以内に同じアイドルが複数ランクインしている場合は、それらの楽曲にも言及している。特別枠として、LE SSERAFIM、IVE、NewJeansといったグローバルな活躍を見せるK-POPグループについてもトークを展開している。(渡辺彰浩)※本取材は2023年1月19日に実施。

1位 FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」
1位 fishbowl「熱波」

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宗像:1位がどちらもヤマモトショウさんの作詞作曲であるという、“ヤマモトショウ楽曲大賞”と揶揄される我々の本領発揮です。TikTokでのヒットは今の時代を表していますよね。男性アイドルグループであるTHE SUPER FRUITの「チグハグ」が昨年TikTok発として大ヒットしたわけですけど、そのマネージャーの堀切裕真さんにインタビューした時に、「TikTokは大手事務所とか行政とか関係ないじゃないですか。超フラットに闘えるフィールドで、それにまず可能性を感じたのと、もうそこ以外でアイドルがヒットさせるっていう絵がなかなかない」と言っていたんです。

 これはTHE SUPER FRUITにも共通するんですけど、FRUITS ZIPPERはTikTokでバズった後にも投稿を続けていたんですよね。一個バズったからといって油断せずに、その後もコンテンツを出し続ける。FRUITS ZIPPERはTikTokでメンバーの推しカメラみたいなものをどんどん上げているし、K-POPによく見られる撮影の裏側を映した「BEHIND THE SCENES」という形で公開しています。SNSでの楽曲の広め方が上手いですし、そこからマスメディアに出ていくきっかけを掴んでいったというのを感じます。何より、ショウさんの楽曲が素晴らしいんですよ。この曲の〈付き合ったりは無理ごめん〉の歌詞は、アイドルとファンとの関係を指しているんだと思います。サビでは〈わたしの一番、かわいいところに気付いてる そんな君が一番すごいすごいよすごすぎる! そして君が知ってるわたしが一番かわいいの、わたしもそれに気付いた!〉とアイドルとファンが共に認め合う関係性になっている、自己肯定感を上げる曲なんですよね。そういう時代性においても強いなと思います。

ピロスエ:「わたしの一番かわいいところ」については、プロデューサーの木村ミサさんが、「推しと推しを応援している方を全肯定したい思いからできた楽曲」とコメントしています。このあとに出てくるiLiFE!「アイドルライフスターターパック」もそうですが、アイドルをメタ的に捉えた手法で作った上でこんなにも作風が違うんだというところに面白さを感じました。

宗像:この時代に、自己肯定感が下がるような曲は聴きたくないんだろうなと思います。それは「チグハグ」と「わたしの一番かわいいところ」のヒットを見ていると、如実に表れていると感じます。

岡島:歌詞は「アイドルとファン」という1対1の構造で、画面を通じて「いいね!」などをもらう関係性ですよね。ただTikTokでバズるということは当人だけではなく、数多くのTikTokユーザーがその曲を使った動画をアップしたということ。つまりバズった時点で「アイドルとファン」という関係性を超えて「自分と、イイネをもらう相手」の関係性の曲として拡散されている。同じくTikTokでバズったHoneyWorksの「可愛くてごめん」も自己肯定の曲ですが、こちらの方が歌詞の構造はシンプルです。このように「振り真似やその楽曲がアイドルが“バズる”構造の中心にある」ことは、1970年代のピンク・レディー(「UFO」など)や、2010年代のAKB48(「恋するフォーチュンクッキー」など)など、アイドルシーンでは古くから連綿と続いていることですね。ピンク・レディーはテレビ、AKB48はYouTubeとテレビ、FRUITS ZIPPERはTikTokと、時代とともにその媒体を変わってはいますが。

ーーTikTokが絶大なプロモーション力を持っているのは納得しているのですが、一方でTikTokでヒットした楽曲はどこか刹那的だとも感じています。果たしてこれらの楽曲が10年後に聴かれているか、その耐久度は不確かのようにも思っています。

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