優勝後の会見で「明日から肩書のない人」と事実上の退任表明をした栗山監督。「DH解除でピッチャー大谷」が最後の采配となった
大谷のエグいスライダーにトラウトのバットが空を切り、日本が世界王座を奪還!! 出来すぎなストーリーで幕を閉じたWBCの余韻にまだまだ浸りたいですよね? 侍ジャパンと関係の深い方々に、超個人的な視点からMVPとベストシーンを選んでいただきました! 今回は栗山英樹監督とはヤクルト時代の同僚であり、現在はENEOS打撃コーチを務める荒井幸雄さん!【WBC侍ジャパン 俺のMVP&ベストシーンその3】
* * *
【MVP】近藤健介
【ベストシーン】《メキシコ戦7回裏》吉田正尚の同点3ラン
いや、俺がこのスーパースター軍団にコメントすることなんて何もないって。
広告の後にも続きます
決勝戦はENEOSの食堂でおばちゃんたちや田澤(純一、元レッドソックス)と見ていたんだけど、みんな感動して熱くなったよね。日本野球の底力。
俺が出たロス五輪(84年)の金メダルとはまた違う。相手は現役バリバリのメジャーリーガーだよ。アメリカが優勝するための大会だよ。アメリカへ乗り込んで、やっつけちゃうんだから、鳥肌だって。野球がベースボールに勝ったんだからね。
この大会、大谷さんや吉田選手もとんでもなくすごいけど、彼らのお膳立てをするヌートバー選手と近藤健介選手の1、2番だよ。特に近藤選手は出塁率5割。2死でも四球を取ってチャンスメイク、得点圏なら積極的に打ちにいく。自分がやるべき役割を理解して、ちゃんと実行できる。2番として最高の仕事をしたよね。MVPは大谷翔平さんでも、近藤選手が陰のMVPだよとホメてあげたい。
そして栗さん(栗山監督)とは大会前と大会中も少し話したけど、「本当におめでとうございます」とねぎらいたいです。今はゆっくり休んでほしい。これだけのスーパースターたちを集めるなんて、栗さんしかできないよ。
「俺の仕事は何もしないこと」「よけいなことはしない」と常々口にしていたけど、一方で「これだけのメンバーに来てもらって、もし負けたらしばらく表には出られないな」なんて言葉も聞いたよ。監督になってから約1年半、すごいプレッシャーがあったと思うよ。
84年ロス五輪代表であり、現ENEOS打撃コーチ。そして栗山監督の盟友である荒井幸雄
考えてみれば、今大会は大谷さんで始まって大谷さんで終わったよね。18歳で日本ハムがドラフト指名した当初は、栗さんもまったく相手にしてもらえなかった。プレゼン資料を作って何度も何度も説得してね。