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ぜんぶ君のせいだ。無期限活動休止前ラストライブ、日本武道館単独公演をレポ

DI:GA ONLINE

単独公演『この指とまれ』
2023年3月15日(水) 日本武道館

「この度、ぜんぶ君のせいだ。は、かねてより目標にしてまいりました2023.3.15日本武道館単独公演をもちまして、無期限の活動休止をすることになりました」。オフィシャルサイトで、衝撃の発表をしたのは去年12月1日のこと。活動休止の理由は明かされておらず、「メンバーそれぞれのコメントは音楽を通してLIVEで、皆様にお返ししていければと思っております」とだけ伝えられた。

(撮影:ニッタ ダイキ) (撮影:ニッタ ダイキ)

それから約3ヶ月が経ち、ついに“その日”を迎えた。会場には彼女たちの活休を惜しむ大勢のファンや関係者が押し寄せた。開演時間になり、客席の明かりが落ちるとドクンドクンと心臓音のような音が会場全体に流れた。そしてメンバーとバンドメンバー(Gt:ヨコイタカユキ、Gt:岡村耕介、Ba:ハヤシタカヒロ、Dr:RISA)が姿を見せて「Cult Scream」で大舞台の幕を開け、続けて「WORLD END CRISIS」を披露。冒頭で昔から歌い継がれてきたこの曲たちを歌うことは、これまで卒業していったメンバーの想いまで一緒に背負って武道館に立つという、彼女たちの覚悟を示しているようだった。如月愛海が観客に「みなさん、盛り上がっていますか!?」と声高らかに投げかけ、メイユイメイはステージ最前のギリギリに立ち観客を煽り、个喆は天井を見上げながら思いっきり拳を上げて、寝こもちは満面の笑みでマイクを握り、もとちか襲は鋭い目つきで目の前を見つめていた。そして重厚なシャウトから始まる3曲目「arcana ail」で、ステージ上の熱狂という名の炎はさらにくっきりと燃え上がる。怒涛の前半戦を締め括ったのは「孤HOLIC」だ。スクリーンにぜん君。の集大成のようなラストMVも流れた。<戻らない、軌跡と心中>という言葉が宙に舞い、こうしてグループが約8年間過ごした思い出のメリーゴーランドが回り始めた。

(撮影:ニッタ ダイキ) もとちか襲
(撮影:Akira”TERU”Sugihara) メイユイメイ
(撮影:ニッタ ダイキ) 如月愛海
(撮影:ニッタ ダイキ) 个喆
(撮影:ニッタ ダイキ) 寝こもち
(撮影:Akira”TERU”Sugihara) (撮影:ニッタ ダイキ)

ハアハアと浅い息を吐きながら、如月が笑顔を浮かべて「楽しいね」と言葉を漏らし、中盤戦はガラッと雰囲気を変えて「@唯君論」でスタート。寝こもちが両手を広げてステージ上を自由に泳いだり、メンバー同士で抱き合ったりなど、鬼気迫る表情ではなくアイドルとしてのポップな笑顔を見せる5人。続く電波系ソング「オルタナティブメランコリー」で、さらにその雰囲気を色濃く染めていく。9曲目「ギザトゥンク%」では楽曲制作者でもありレーベルメイトでもあるGtじゅんちゃい(かわぐちじゅんた)が演奏する肩をツンツンする个喆と、頭をポンポンする寝こもち。10曲目「メスゲノムフェノメノン」ではメンバーに合わせて、観客も一緒になってその場でグルグルと周り、ドラム以外のバンドメンバーもステージ前方で激しい演奏を魅せるなど、ただただ楽しい空気が会場に充満していた。

(撮影:ニッタ ダイキ) (撮影:ニッタ ダイキ)

そして終盤戦はけたたましいシャウト始まりの「Heavenlyheaven」でアグレッシブなぜん君。を見せつける。まるで四季のように、その時代ごとの楽曲によって自在な景色を見せる5人。ライブ中、その場にいた誰もが今日のステージがラストだなんてことを忘れて手を叩いて、この瞬間を満喫している。いや、それでも完全に忘れているわけではなく、頭のどこかにチラついていた中、「ぼっちコネクト終」の<無敵にクラップ 夢よ 覚めないで 覚めないで…>は、その場にいる全員の願いだったのかもしれない。そして大きな一体感を生んだ「ぜんぶ僕のせいだ。」では<隠れて怯えて 泣きじゃくる>のパートで如月と个喆が向かい合わせになり、个喆が如月の頬を撫でると如月が目を閉じて、そっとお互いのおでこをつけた。如月は以前「私たちぜんぶ君のせいだ。は心に傷を付け合いながら前に進んできたグループ」と口にしたことがある。誰よりも、その傷の痛みを知っているのもオリジナルメンバーの彼女。今、泣きじゃくる日々から解放されて心から報われた表情をしていた。
そんな、ぜん君。がラストに選んだのは「When you 2 WANT」。「武道館、最後だぁー!」と言って、力を振り絞るように全身全霊を込めるパフォーマンス、観客も目一杯拳を高々と上げる。爆音の桜吹雪が会場に舞っている。「揺らせ!」という声を発すると、観客も一緒になってジャンプした。
そして22曲を歌い終えて、5人が横一列に並び「せーの!ありがとうございました!」と言って深々とお辞儀をすると、会場からは彼女たちを讃える声援と盛大な拍手が起きた。

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ライブ本編が終了しても、観客がその場を離れることはなく、メンバーの帰りを待っていた。その時、1階席にいた観客の1人が<君の手のぬくもり こんなに覚えてるのに~!>と歌い出すと、続いて会場にいたほとんどの観客が<どうして~!どうして~!>と「無題合唱」を熱唱。それを何度も繰り返し、先陣を切った1人の声が枯れて出なくなった瞬間、誰かが「負けんな!」「頑張れ」と叫ぶ。再び、観客1人が<君の手のぬくもり こんなに覚えてるのに~!>と歌えば、他の観客が<どうして~!どうして~!>と歌い続けた。何回も重ねるうちに、その手拍子と合唱は大きくなり、会場に固い絆で結ばれた巨大パワーが生まれた。そしてメンバーが再び姿を見せて、如月がそっとマイクを口元に近づけた「あの……ウチら今めっちゃ幸せだけど、みんなも幸せ?」。そう言って演奏が始まると「この指止まれ!」と叫んでアンコール1曲目「無題合唱」を歌った。<独りぼっちだから 居場所なんてなくてさ 繰り返す日々に泣けずにいた>この曲は彼女たちのノンフィクションの歌。<意気地なしだから 君の優しさも 踏みにじった態度 心には雨>アイドルになる前は独りぼっちだった5人。<君の手のぬくもり こんなに覚えてるのに… どうして?どうして。時よ止まれと>「無題合唱」は“ぼっち”の人が大切な人に出会いその人を失ってしまう、という内容だ。それを今、大勢の仲間と共にこの歌を共有している。<君と見たい景色 こんなに望んでるのに…どうして?どうして。>スクリーンに如月の横顔がアップで映る。頬には涙の線が出ていた。「革鳴前夜」で个喆がステージの真ん中で観客一人ひとりの顔を見るように歌い、「夢幻路」ではメイユイメイの動きに熱が帯びてさらに熱狂を創出し、「堕堕」でもとちか襲のクールなパフォーマンスが楽曲の魅力を底上げして、「MONOLOGUE」では寝こもちの眩しい笑顔が、さらにステージを明るく照らした。アンコール8曲を歌い、再び「ありがとうございました!」と一同が感謝を伝えると、本編以上の大きな拍手が起こった。

メンバーが去った後、再びアンコールの代わりに「無題合唱」の合唱が起きた。そしてステージに現れるメンバー。「やみかわぐんぐんか」ではステージ上の5人だけでなく、観客も一緒にお互いの肩を組んで揺れる。Wアンコールのラスト「ねおじぇらす∞めろかおす」で勢いよくテープが噴射されると、5人はその煌びやかな光景を目に焼き付けるように見つめ、涙を流してお互いの顔を見合わせた。みんな泣きながら笑っていた。こうして、33曲を歌い終えてぜんぶ君のせいだ。のラストライブは幕を閉じた。ステージを去る時、如月が腕を上げて小指を立てると、それを掴むように、観客はステージに向かって手を伸ばした───。

(撮影:Akira”TERU”Sugihara) (撮影:ニッタ ダイキ) (撮影:ニッタ ダイキ)

SET LIST

01.  Cult Scream
02.  WORLD END CRISIS
03.  arcana ail
04.  aiHUMANOID
05.  SCAR SIGN
06.  孤HOLIC
07.  @唯君論
08.  オルタナティブメランコリー
09.  ギザトゥンク%
10.  メスゲノムフェノメノン
11.  Greedy Survive
12.  キミ君シンドロームX
13.  Heavenlyheaven
14.  ICE CREAM REBEL
15.  ぼっちコネクト終
16.  Sophomore Sick Sacrifice
17.  世界にたった一人ちっぽけな君を
18.  せきららららいおっと

ENCORE1
01. 無題合唱
02. 革鳴前夜
03. 夢幻路
04. 堕堕
05. 歩兵ディストピア
06. みすふぃっとらゔぁーず
07. 僕喰賜君ノ全ヲ
08. MONOLOGUE

ENCORE2
01. やみかわぐんぐんか
02. ものの恋あはれ
03. ねおじぇらす∞めろかおす

LIVE PHOTO GALLERY

如月愛海

(撮影:Akira”TERU”Sugihara) (撮影:Akira”TERU”Sugihara) (撮影:Akira”TERU”Sugihara)

もとちか襲

(撮影:Akira”TERU”Sugihara) (撮影:Akira”TERU”Sugihara)

メイユイメイ

(撮影:Akira”TERU”Sugihara) (撮影:Akira”TERU”Sugihara) (撮影:Akira”TERU”Sugihara)

个喆

(撮影:Akira”TERU”Sugihara) (撮影:Akira”TERU”Sugihara)

寝こもち

(撮影:Akira”TERU”Sugihara) (撮影:Akira”TERU”Sugihara)
 
   

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