これまで、草彅は様々なキャラクターを演じてきた。純朴な好青年から、ときにはアウトローな役柄まで、実に幅広く……。その多くはどんなに試練が立ちはだかろうとも、揺らぐことのない信念や愛すべき人柄が変わらない姿を描いてきた。だからこそ、一つの作品の中でこれだけ複雑に変化する顔を見せてきた本作は、俳優・草彅剛のキャリアにおいて大きな節目となるのではないか。
最終話の大きな見どころは、やはり欲に支配された鷲津を倒すと宣言した蛯沢眞人(杉野遥亮)との対決だろう。この“欲にまみれた議員vs正義感に溢れた議員秘書”という構図も、少し前の犬飼vs鷲津だったと思うと胸が痛い。政治の世界に身を投じる者は、本当にソメイヨシノのようにみんな同じなのだろうか。『罠の戦争』と名がつくからには、この鷲津の姿も大きな罠だと信じたい。(佐藤結衣)