現地時間3月25日を終えた時点で、ウエスタン・カンファレンスは7位に37勝37敗(勝率50.0%)でミネソタ・ティンバーウルブズ、ロサンゼルス・レイカーズ、ニューオリンズ・ペリカンズが並び、その1ゲーム差の10位タイに36勝38敗(勝率48.6%)でオクラホマシティ・サンダーとダラス・マーベリックスが、さらに1ゲーム差離れて12位にユタ・ジャズ(35勝39敗/勝率47.3%)がつけるという、熾烈なプレーイン争いが繰り広げられている。
そのなかで、一時はプレーイン圏外の12位まで後退したものの、4連勝で再び上昇してきたペリカンズ。一時は首位に立っていたことを考えると寂しい成績だが、ここまでズルズルと後退してしまったのは、やはり1月に主砲のザイオン・ウィリアムソンが負傷離脱したのが響いている。
ザイオンは1月2日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦で右ハムストリングを負傷。そこまで23勝14敗と勝ち越していたペリカンズの成績は、ザイオン離脱後は14勝23敗と反転してしまった。
当初はこれほど長引く予定ではなく、コート上でのトレーニングも始めていたが、その最中に再びケガを悪化させ、さらに復帰が遅れることに。3月上旬に「2週間後に見極めを行なう」と発表された際には、早ければ23日のシャーロット・ホーネッツ戦には復帰かとも期待されたが、実現しなかった。
ウィリー・グリーンHC(ヘッドコーチ)は、22日のトレーニング後のインタビューでザイオンについて最新情報を明かしている。
「(ケガが)再発したことで、今はより慎重にリハビリを行なっている状況だ。すでにコートでのトレーニングは始めていて、走ったり、シューティングもしている。(レギュラーシーズン終了前の復帰は)明言はできない。様子を見るしかない。彼の復帰は、彼自身にとってもチームにとってもものすごくポジティブなことだ」 出場した29試合で平均26点をあげた主砲が戦列に復帰するとなれば、ペリカンズにとっては大きな追い風だ。しかし彼の離脱後、一時は10連敗と大崩れしたチームは、徐々に“ザイオン不在”のシステムが機能してきた感がある。
左足の親指を痛めて11月下旬から約2か月欠場していたブランドン・イングラムも、1月末から復帰すると、3月1日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦では今季最多の40得点をマーク。さらに23日のホーネッツ戦では、キャリア7年目にして初のトリプルダブル(30得点、11リバウンド、10アシスト)を達成した。
加えてターンオーバーも0と、会心のパフォーマンスを見せたイングラムはその試合後「コート上では、全員が心地よくプレーできることがものすごく大切。一人ひとりが、オフェンス、ディフェンス両方で自分がやるべきことを全うするという姿勢で試合に臨むことが重要だ。その上で自分は、みんながプレーしやすい状況を作り出すことを常に心掛けている」と責任感にあふれた発言をしている。
このホーネッツ戦では、リトアニア人ビッグマンのヨナス・ヴァランチュナスも20得点、19リバウンドと奮闘。CJ・マッカラムが20得点、トレイ・マーフィー三世は19得点、ベンチスタートのナジ・マーシャルも16得点と、ペリカンズは5人が2桁得点をあげるチームプレーを披露した。
とりわけ、4戦連続でダブルダブルとインサイドで骨太なプレーを見せるヴァランチュナスについては、グリーンHCも「彼自身がシュートを決めるかどうかによらず、彼がポストでボールに触れることで、我々にチャンスが生まれる。必要な時にゲームを落ち着かせてくれる貴重な戦力だ」とその重要性を強調している。
ザイオンは、早ければ4月5日のメンフィス・グリズリーズ戦から復帰できる見込みとも報じられているが、ペリカンズにとっては、ひとまず3月25日からのロード4連戦(ロサンゼルス・クリッパーズ、ブレイザーズ、ゴールデンステイト・ウォリアーズ、デンバー・ナゲッツ)をどう乗り切るかが肝だ。
2年連続のプレーオフ出場を懸けて、一寸も気が抜けないヒリついた終盤戦に突入する。
文●小川由紀子
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