人類が被った2020年~2023年の停滞期が最終週では描かれるのか。せっかく、ここまで開発された空飛ぶクルマはどうなるのか。貴司は歌人として復活するのかーー。
誰もの心にある消えない炎の象徴は、祥子(高畑淳子)がふさわしい。手足が不自由になって自活できなくなり船を降り、五島から遠い東大阪で娘・めぐみ(永作博美)の家に身を寄せている。五島時代のように豪快にいられず、しゅんとおとなしくしているけれど、貴司の想いをそっと見つめていたのは彼女である。デラシネで本を読む喜びを知った祥子。本を読めば、誰かの人生に触れることができ、写真集を開けば、たちまち五島に舞い戻ることができる。祥子の炎も消えることはない。火力は小さくなったかもしれないが、人を包むようなじんわりとしたあたたかさがある。(木俣冬)