
2回にランニング本塁打を放った吉良・山崎君
<春季愛知県高校野球1次予選:吉良35-0猿投農林>◇23日◇西三河地区敗者復活2回戦◇刈谷
西三河地区の、敗者復活戦の2回戦。実業校でもある猿投農林はぎりぎりの10人。部員不足で苦戦しながらの大会参加である。吉良も現在は17人、必ずしも十分な人数ということではないものの、選手たちの体づくりもしっかりとできているし、チームとしてもまだ余裕があるというのが、正直なところであろうか。その差は、スコアにも見事に表れてしまった。
力で上回る吉良は初回、四球と安打、盗塁などで無死二、三塁としたところで3番杉山が右越えへ。やや処理に戸惑う間にダイヤモンドを駆け抜けてランニング3ランとした。さらに、ポテン安打なども重なって2点を追加して、吉良は5点リードとなった。
その裏、吉良の内藤投手はストライクが先行して三者三振、好調な滑り出しだった。
2回にも吉良は2番山崎のランニング本塁打や杉山、谷の三塁打などに外野手の手前に落ちる安打なども相次いでさらに6点を追加した。
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3回には2人目として中堅手の三石主将をマウンドに送った猿投農林だったが、吉良の攻撃を止めきれなかった。打者16人で10点が入ってしまった。
吉良は、大量リードしても決して雑にならず、1球1球を大事にしていき、最後まで全力で戦うという相手に対してのリスペクトの気持ちも失っていなかった。大味な展開になっても、そういう姿勢でいられるのは佐藤将吾監督の指導もしっかりと行き届いているともいえよう。
投手に関しては、「左の大山という1番をつけている投手がいるのですが、今日は、この2人でどこまで投げられるのかと思って起用しましたが、しっかり投げてくれたと思います。冬を越えて、成長は感じられました」と監督も評価していた。
猿投農林としては、打ち取ったと思った打球も野手の位置がよくなかったりして長打になってしまったというケースもあった。人数も少ない中で、絶対的な練習量の少なさも否めないところであろう。それでも、こうして大会に参加していくことに部活動としての意味があるのではないだろうか。これもまた、高校野球なのだ。
(取材=手束 仁)