
品川区立八潮学園の6年生が3月16日、「SDGs(持続可能な開発目標)」について学習し、給食を題材に、フードロスや貧困などの社会課題を自分ごととして考えた。
授業は、幅広い業界で活躍している有識者や企業・団体が連携し、SDGsのテーマに基づいてネットワークや情報を共有して平和な社会づくりにチャレンジするアクションプロジェクト&オピニオン参加型プロジェクト「SDGs ピースコミュニケーション」の一環として開発している、SDGs学習カリキュラムの実証実験として行われたもの。同学園の6年生104名が参加した。
はじめに早稲田大学総合研究機構グローバル科学知融合研究所所長の朝日透氏が、SDGsに取り組む心構えを説明した。社会が抱えている難しい課題に挑戦して解決に貢献する人を「ソーシャル・アントレプレナー」と呼び、ワークを通して新しいことに挑戦することの大切さを呼びかけた。

この日は元サッカー選手の水内猛と早稲田大学の学生を講師に迎え、二部構成でSDGsの特別授業を行った。第一部では、まず水内がサッカー選手のトレーニングや高齢者の認知症予防などに導入しているという「シナプソロジー」を紹介。子どもたちは隣の人と身体を触れ合ったり、数の計算をしたりして頭と身体を使った交流を楽しんだ。
つづく講演では、水内がサッカーを始めたきっかけや、中学サッカー部で感じた挫折、全国高校サッカー選手権に出場した時の喜びなど、これまでの歩みを語った。Jリーグ浦和レッドダイヤモンズに入団し、1997年の引退までプロサッカー選手として活躍した水内。サッカーが何より好きだったという学生時代、「“どうやったら強いシュートが打てるんだろう”ということをずっと考えていた。ひたすら上手くなりたいと思っている中で、思うだけじゃなくて行動する。そうすることで夢が近づいてくる」と話し、行動する大切さを伝えた。

広告の後にも続きます
第二部は、早稲田大学の学生による「給食」を題材にしたワークショップ。「給食って完璧?」をテーマに、子どもたちにとって身近な給食を通して、さまざまな社会課題を考えた。グループごとに分かれて向き合った問いは、「アレルギーの人のための給食?」「給食を作るときにたくさんのゴミが出る?」「給食を残さず食べている?」「いろんな文化・風習に気を配った給食とは?」の4問。それぞれ「だれが、どこで、いつ」の状況が書かれたカードをもとに、具体的にどのような問題があるかを考えた。
ワークでは子どもたちからはさまざまな意見が挙がった。給食を作っている人が必要以上に作ってしまったときは、地域で食に困っている人に届けることで役に立てるのではないかという“ウーバー給食”を提案。別の班では、化粧水などの製造にも使える卵白は食材が余っても有効活用できるのではないかという意見も挙がり、フードロスを解決するための具体的なアイデアも出た。
早稲田大学の学生、遠藤竜仁さんは「“どうしてこれは大切な問題なんだろう?”とみんな深い意見を持っていたし、イラストを書いたりと、伝える工夫も素晴らしかった。今日学んだことをぜひ日々の生活でも生かしてもらえたら」と呼びかけ、会を締め括った。

