
昨年4月23日、まさに夢のような花火大会の第1回目が開催された——“絶景な場所”から、“絶景な演出”で花火本来の美しさ、壮大さをぜひ体験、堪能してほしい——そんな願いを込めて立ち上がったのが「The絶景花火@Mt.FUJI」だ。
舞台は世界遺産富士山の一合目に位置するふじてんリゾート。そんな特別な場所で、紅屋青木煙火店、磯谷煙火店、齋木煙火本店、菊屋小幡花火店、いずれも100年以上の歴史を持つ日本を代表する花火師BIG4が競演。花火師のオールスターが技巧の限りを尽くした美しい花火と富士山のコラボは、他の花火大会では体験できない、一夜の夢のような花火大会になった。そんな「The絶景花火」がグレードアップされ、今年も4月22日に開催される。開催を前に、花火師BIG4の一社、齊木煙火本店代表取締役社長・齊木克司氏、この大会の立ち上げにも参加し、様々な花火大会の発起人、実行委員を務める花火鑑賞士の石井孝子氏、そしてこの大会の実行委員が集結。「The絶景花火」をなぜ立ち上げたのか、そして第1回目を終えて感じたこと、今年の見どころまでを語ってもらった。
――最初に「The絶景花火」のコンセプトを聞いた時はどう思われましたか?
齋木:それまでの花火大会は、各地域と密着した花火大会が多いの中で、あくまで花火を主体に組み立てる企画に感銘を受けました。しかも富士山でということで、声を掛けていただけて嬉しかったです。
石井:私は企画の立ち上げから参加させていただいて、まず最初にどの花火会社さんにお願いをするかという話になった時、ラグジュアリーがコンセプトで、花火師さんも超一流でなければいけないので、今までできなかった組み合わせにチャレンジしようと。この業界は日本煙火協会と日本煙火芸術協会という二つの団体があって、企画当時、前者の会長は磯谷煙火店の磯谷尚孝さん、後者が紅屋青木煙火店の青木昭夫さんで、このお二人が花火業界のトップ。これまで双方とお付き合いがあり、信頼関係があったこともあって、この大会の趣旨に賛同してくださり、参加が実現し、。業界の方達は「山が動いた」とおっしゃっていました。この2社に加え老舗の菊屋小幡花火店さんと齊木煙火本店さんも参加していただけることとなり、今までできなかった組み合わせが実現しました。。“最高の花火大会”にするためにはこれ以上の布陣は考えられないと思います。
実行委員:日本を代表する絶景ポイントで、最高の花火を、というコンセプトなので、日本を代表する最高の花火師さんを、と無茶なリクエストをしました(笑)。

――会場を見た時はどんな印象を持ちました?僕は昨年会場に一歩足を踏み入れた瞬間、富士山に圧倒され、ここに花火があがるんだと思うとワクワク感が止まりませんでした。
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齋木:山梨は我々の地元でもあるのですが、会場はスキー場ということもあって、最初はお客さんが見る位置と花火を上げる位置の配置が難しいなと思いました。でもこれだけの規模の花火を地元で、しかも富士山の麓で堂々と打てるという非常にやりがいのある仕事だと思いました。
石井:最初に訪れたのは雪の時期でした。スキー場での花火大会は、新潟とかでもあって見慣れてはいるのですが、やっぱり富士山が目の前にドーンとそびえているのはインパクトがありました。静岡側の候補地は木や障害物越し富士山だったのですが、ふじてんスキー場は目の前が富士山なので、富士山との距離感というか見え方が全然違いました。
――今年も5万円の「VIPカメラマン席」が用意されているように、写真を撮りに来る人にとっては、たまらない構図が目の前に広がっています。
石井:やっぱり敷地内で10号玉が上がるので、撮る方も難しいと思いますが、堪らない瞬間だと思います。10号玉が上がる花火大会は他にもありますが、この大会は特別な10号玉というか、皆さん10号玉の競技会で優勝経験がある花火会社さんばかりなので、一発だけで全ての人を虜にできる花火を持っているのがすごいところです。もちろん5号玉も美しくて、とにかく“玉の力”がある花火会社さんが揃っているのが、カメラマンにも魅力的だと思います。中には「美しすぎてもったいから撮るのやめて、途中から見入ってしまった」という人もいました。花火マニアの方の中には、たった一発でもすごい10号玉が上がるのであれば、全国どこにでも行くという人もいます。

――観客数も絞って、広い会場でゆっくり見るというコンセプトの、ラグジュアリーな大会だけに、チケットの価格設定も他と一線を画しています。
齋木:やっぱり普通の花火大会よりは高いです。でも逆に花火の価値を認めていただいてるということなので、きちんとお応えしなければいけないという気持ちが強いです。