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ラックライフ、ツアーFINAL&15周年記念日。「ありがとう」と言うために命を削って音楽を届け続ける

DI:GA ONLINE

ラックライフ、ツアーFINAL&15周年記念日。「ありがとう」と言うために命を削って音楽を届け続ける

ラックライフ Presents 15th Anniversary Because of you
2023年3月15日(水)EX THEATER ROPPONGI

東名阪札ツアーのファイナルであり、結成15周年記念日当日。ラックライフのアニバーサリーイヤーの開幕だ。SEが鳴ると観客もそれに合わせてクラップを鳴らし、ステージに現れた4人を歓迎する。4人が円になって音を鳴らすと、ステージバックに掲げられたお馴染みのバックドロップがゆっくりと上がり、その裏から“LUCK LIFE 15th ANNIVERSERY”と描かれた今年仕様のバックドロップがお目見え。日の出のような多幸感のなか「Hand」で軽やかかつ堂々と幕を開けた。

アグレッシブでありながら細やかに情景を色づけるドラムに、ひずみをメロディアスに操るベース。煌びやかで荒々しさを持つギターと、歌詞やメロディに合わせて巧みに歌唱法を使い分ける情熱的なボーカル。「サニーデイ」のようなポップソングも4人の手に掛かると骨太のロックンロールだ。メンバーそれぞれに“ラックライフ”や“バンドマン”という看板を15年背負いつづけた矜持やタフネスがあることをあらためて痛感する。

PON(Vo/Gt)が「15年間どんなときも、この(ステージから見える)光景に助けられてきたよ」と告げ「フィーバー」。今年リリースされた最新シングルのc/wで、軽快なリズムと反して歌詞には《いつまで歌えるだろう》など弱気な心情が正直にしたためられた楽曲だ。と思いきやその後は《不安や迷いはあるけれど/やってみなきゃわからない》と鼓舞する痛快な「初めの一歩」へ。この両極端の気持ちを持ちながら歩んできた15年なのだろう。その後のMCでPONが「15年はヤバいですよ。長いことやりすぎてるわ」と言うと、ikoma(Gt/Cho)が淡々とした調子で「何がヤバいの?いいじゃないですか」とフラットに返答していたのは、他愛ないやり取りとはいえ象徴的だった。PONはいつも「目の前にあなたがいてくれたから歌い続けてこれた」と観客に語り掛けるが、それだけではなくこのメンバーとだからここまで歌い続けてこれたのだ。

PON(Vo/Gt)

たく(Ba)は15年間で強烈に残っている思い出として、パーキングエリアにLOVE大石(Dr)を置き去りにしてしまったエピソードを話す。PONとikomaから「15周年のMCでしゃべる内容それなん?」「3、4年目の話やん。バンドの歴史の序盤やん」「もっと思い出あったやろ」と総ツッコミを受けていたが、置いていかれた当事者ではない彼が「置き去りやで!?」と反論する様子も微笑ましい。

たく(Ba)

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一緒にいる時間が長すぎて、他愛のない会話も減って熟年夫婦みたいになってきたと話すPONは、それでもバンドが15年続いた理由を4人ともやりたいことが同じだからと話す。何時間も掛けて車で移動をするつらさ以上のものが得られるライブの尊さについて続けると「15年経った今日もそれを噛み締めながら歌いたい」と告げ、疾走感のあるバンドサウンドの上を感傷的なメロディが走り抜ける「風が吹く街」を届け、ライブはここから徐々に内省的なセクションに入っていった。

ikoma(Gt/Cho)

「Lily」、「タイムライト」と曲の中にじっくりと入り込み、丁寧な演奏を展開する。4人のアカペラユニゾンから始まった「アオイハル」は声をからして歌う《心がまだやれるんだと うるさいんだ》という歌詞が胸に迫った。「夢を叶えたいと思うのは喜んでくれる人がいるから」というPONの言葉の後に披露された「しるし」と「名前を呼ぶよ」、1stデモ音源の表題曲「夕焼け小道」は、会場一帯がとても優しく力強い音色に包まれる。PONのその時思った素直な気持ちや人生が描かれた楽曲を聴きながら、自分も生きていていろんなことがあったな、とふと思った。観客一人ひとりがこれまで歩んできた人生に光を射すような演奏に、客席からも深くやわらかい拍手が鳴り響いた。

LOVE大石(Dr)

PONが「あなたが一生懸命生きている人生のなかで俺らの音楽に出会って、俺らに会いにくることを選んでくれた」と感謝の意を示し、「15年ずっと同じことばかり歌ってきたけどまだ歌い足りない。これからもあなたにありがとうって歌っていくわ。救われてばっかり!」と話して歌い出したのは「℃」。PONはギターの弦が切れたことも物ともせずに歌と演奏に没頭する。冒頭同様に全員で円になってアウトロをかき鳴らし、輝かしく本編ラストを締めくくった。

アンコールでは7月5日に初のベストアルバム『LUCK LIFE』をリリースすることと、11月30日(木)に初のZeppワンマンをZepp DiverCity(TOKYO)で開催することを発表。緊張した面持ちを浮かべながらも「15周年、目が離せない1年にしていきます!」と意気込んだ。

最後にメンバー全員が15周年を迎えて感じる心境を語った。たくはリスナーに支えられたからこそ続けてこれたという感謝を表明し、大石は同じ目標を持った4人だから15年続いたこと、同じチームで上を目指せる喜びを露わにする。ikomaは全国各地の人々と思い出を共有できることがバンド活動で得られる財産であると感慨深げに話し、15周年は通過点であるとさらなる飛躍を約束した。

3人の言葉を受けて「ええバンドでしょ?」と笑顔を見せたPONは、「このチームとあなたと、どこまでいけるかな?どこまでも行きたいなあ」と零すと、あらためて観客へと感謝を告げる。そして4人は「僕ら」とインディーズ時代の1stシングル表題曲「ハルカヒカリ」の2曲を届けた。10年前から変わらない思いが込められた歌詞を噛み締めながら歌うPONと、そこに共鳴するように音を鳴らす3人。それに応えるように客席からは高々と拳が上がり、シンガロングが起こる。不純物が一切存在しない、シンプルでとても美しい光景だった。

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