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運動のしすぎは老化を早める? 知っておくべき正しい運動と食事法

パラサポWEB

よく“これを食べるといい”というような健康法がネットなどで勧められるが、むしろ注目すべきは“食べてはいけないもの”だと黒田氏は言う。

「腸の炎症を引き起こす食べ物はいくつかはっきりわかっていて、その筆頭は小麦粉に含まれるグルテン、その他に乳製品や砂糖、アルコール、食品添加物などがあります。グルテンの粘りは腸壁にくっついて腸粘膜を傷つけます。また砂糖は成分となるショ糖が胃液や酵素をたくさん使ってもなかなか分解されにくいため、腸内や血管を傷つけるのはもちろん、消化しきれないショ糖は悪玉菌や真菌などを繁殖させることに。これらは運動しているしていないに限らず、全ての人が避けるべきものですね」

なんとなく体調がよくない……その原因は食事にあるのかも

私たちが毎日生きていく中で、病気というところまではいかないまでも、何となく不調だと感じることはないだろうか。ちょっとした疲労感や倦怠感、消化器官の不快感など。もし自覚があるとしたら、遅延型のアレルギーを疑った方が良いかもしれない。

「一般的にアレルギーというと、食べてすぐにかゆみがでたり呼吸困難に陥ったりする“即時型アレルギー”を思い浮かべると思いますが、実はもうひとつ“遅延型アレルギー”というものがあります。これは食べてから6~24時間ぐらい経過してから徐々に症状が出てくるものなので、みなさん知らずに食べていることが多いんです」

しかもこの遅延型アレルギーを引き起こす要因になる食べ物には、好きでよく食べているもの、毎日食べ続けているものが多いのだそう。自分でも気がつかないうちに、腸に炎症を与える食べ物を摂取しているとは……かなり衝撃的な話だ。

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「よく自分は頭痛持ちだとか、生理痛が酷い体質だとか言ってあまり気にしない方がいるんですが、実は食べるものを変える、食事法を変えるだけで治るケースも多いです。私たちの体は食べているものからできているのは紛れもない事実。それを疎かにしてしまうと肌がトラブルを抱えたり病気になったりはもちろんですが、性格まで変わってしまいます。食べることはものすごく大事なことなので、みなさん自覚的になっていただきたいと思いますね」

黒田氏は、自身も医師ではあるが、医師に頼り過ぎてはいけないと語る。仲間と話していると、食や栄養に関する知識が一般レベル、あるいはそれ以下の人が多いのだそう。医学部では栄養学にあまり重点をおいていないことが多い。つまり、医者は「体の仕組みを理解して薬を症状で軽減してくれる人」ではあるものの、食や栄養が関わる体の調子を根本的に治してくれる人ではないということだ。

そこで黒田氏は、栄養学に基づいて患者の腸内環境をきちんと調べて、その人の症状に適した食事法を指導する。それによってみるみるうちに体調が回復していく人は少なくないのだそう。鬱で不登校だった高校生が体の健康どころか、精神の健康も取り戻し、初診から1年数ヶ月後には海外に留学できるほどになったというケースもあるのだとか。食事は本当に大事だということが分かるが、小麦粉や砂糖、乳製品を全く摂ってはいけないと言われると、果たして自分にできるだろうかと、最初から諦めてしまいそうになる。そんな、トライしてみたいけれどちょっと不安……という人のために、アドバイスもいただいた。

「さきほど言った体によくない食べ物、たとえば小麦粉や砂糖、乳製品を摂るのをいきなりやめてゼロにするというのはハードルが高いと思うのも当然だと思います。外食したら、グルテンフリー、乳製品フリーというのはなかなか難しいですから。なので、ゼロにしようと思わず、まずは減らしていくということを目標にしたら良いのではないでしょうか? 私も外食するときは気にしないようにしています。自分が店を選べる場合は焼鳥とかお寿司、会席などの和食。友人がイタリアンを選んだら、もう気にせず美味しくいただきます。ただ、家には砂糖や牛乳などの乳製品は置きません。買うのをやめることから始めても良いかもしれませんね」

今回黒田氏にお話を伺って、自分は食事にしても体にしても、まだまだ知らないことが多いことに気づかされた。皮膚の炎症などは目に見えるので自覚することができるが、腸の炎症というものがあることは、ある意味衝撃的だった。ただ、食べ物というのは私たちの文化や生活に深く根ざしたもので、いきなりそれを変えなさいと言われても正直難しいと感じる人も多いだろう。もし、日頃の体調に不安を感じているなら、少しずつやれることから始めてみたらどうだろうか。体調に改善が見られたら、それがきっとさらに続けるモチベーションを生み出すことになるはずだから。

PROFILE 黒田愛美(くろだ・あいみ)
美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。1979年東京都生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職。2011年同グループの美容皮膚科部門を立ち上げ、品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年には同クリニック表参道院院長に就任するも、新たな分野への挑戦と技術向上のため退職。その後は予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として都内の複数のクリニックに勤務。体の内側と外側のアンチエイジング、両方に精通する医師として、多くの文化人、芸能人、アスリートからの信頼も厚い。趣味はトライアスロンでトライアスロンチーム「zippy’s」に所属。2012年ロタ島で開催されたロタ・ブルー・トライアスロンでは女子4位に入賞、’17年ロッテルダムで開催されたITU世界トライアスロンシリーズグランドファイナルの日本代表選手に選抜された経験も持つ。現在も日々トレーニングに励み、年に3~5回、国内外の大会に出場している。

text by Reiko Sadaie(Parasapo Lab)
photo by Shutterstock

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