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運動のしすぎは老化を早める? 知っておくべき正しい運動と食事法

パラサポWEB

いつまでも若々しく生きられるようにと、運動を習慣にしている人は多いだろう。アンチエイジング、ダイエット、健康促進など良いことずくめに見えるスポーツも、やりすぎると老化を防ぐどころか早めることになるのだという。運動のしすぎによる弊害に関して警鐘を鳴らし、よりよい運動術・食事術を提言しているのが、自身もアスリートとして活躍する医師・黒田愛美氏だ。私たちはどのように運動し、どんな食事をすれば良いのかについて伺った。

体を老けさせる活性酸素は、運動のしすぎで過剰に発生

  黒田愛美氏

美容・アンチエイジング専門医としてさまざまな症状の患者に日々向き合っている黒田愛美氏は、小学校から大学まで競技スキーの選手として活動していたが、医師になってからスキーから離れていた。しばらくしてスポーツへの情熱が再燃し、トライアスロンに挑戦したところ、2017年、38歳でITU世界トライアスロンシリーズの日本代表選手に選出されるまでになった。現在はそんなアスリートとしての経験を活かしながら、医師として患者に向き合っている。

「私自身、トライアスロンという結構体に負担のあるスポーツをしているので、運動が体に与える影響は、自分の身を通して理解することができます。私は、アンチエイジング専門医として日々患者さんを診ていますが、みなさんアンチエイジングというと、どうしても美容的な、体の“外側”の若返りのイメージが強いんですね。でも、医師としては“内側”を美しくすることも大事な役目です。病気の原因となり得るものを除去し、体の状態をできるだけ引き上げ、生活や仕事のパフォーマンスをアップする。これが体の内側からのアンチエイジングで、食事と運動が大きく関わっています」(黒田氏、以下同)

そして、冒頭の運動のしすぎがアンチエイジングに悪影響があるという話だ。黒田氏は、フルマラソンや、フルのトライアスロンなど苛酷な運動をしている人は、同年代の人と比較して、どうしても老けている印象があることが多いと言う。

「原因は、活性酸素です。活性酸素は、私たちが生きていく上で欠かせない酸素が体内に取り込まれ、代謝される過程で自然に発生するもの。自然発生するぐらいの量なら問題ありませんが、激しい運動をすると個人差はあるものの、過剰発生につながります。すると、活性酸素は細胞を酸化、つまり“サビ”させて体中を老化させ、見た目の老いだけではなく、がん、動脈硬化、高血圧、糖尿病などさまざまな病気を引き起こす原因にもなります。このよう活性酸素が体内で過剰になるとさまざまな悪影響を及ぼします」

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運動のしすぎが老化どころか深刻な病気を引き起こすと聞けば、穏やかではいられない。どうしたらいいのだろうか。

「運動は過剰に行うのではなく、適度なものをするということです。ただ、この適度というのが人によるため程度を言うのが難しくて、一般的な話をすれば、ランニングだったら1日に3~5kmぐらい、テニスとかバスケットなどのスポーツだったら1時間ぐらい。人によって活性酸素の量、それを分解する酵素の量が違いますし、生まれつきの体質だとか生活習慣も関わってくるところなので一概には言えないのですが、体を動かしていてちょうどいいぐらいの汗をかいて気持ちいいと感じる程度と思っていただければと思います。やりすぎて疲れてしまうというのは、活性酸素を処理しきれていないということですから、すごく疲れるちょっと手前ぐらいがいいのではないでしょうか」

免疫を司る腸が、小麦粉や砂糖で傷つけられている!?

黒田氏の著書『アスリート医師が教える 最強のアンチエイジング 食事術51 運動術26』(文藝春秋社刊)には、食事術にも多くのページが割かれている。それは黒田氏の母親が料理教室の教師をしていて、幼い頃から食事に気をつけて生活していたこともあるだろうが、食事もアンチエイジングや日々の活動のパフォーマンスに影響するのがわかっていることも大きい。

「活性酸素は体の細胞を酸化(老化)させますが、女性にとってはもっと深刻な問題があります。それは卵子の老化です。私たちの体を作っている細胞にはミトコンドリアという小さな器官があって、卵子には一番多く含まれています。ですから活性酸素による細胞の老化は卵子の機能にも直結して、不妊の要因にもなり得るので、ミトコンドリアの機能には気をつけなければいけない。大事なミトコンドリアの機能を左右するのが食事です」

黒田氏が体を老けさせない、パフォーマンスを上げる食事術を考えるに当たってポイントにしたのは体の炎症だ。炎症と言っても、目に見える体の外側の炎症ではない。見た目にはわからない体内の炎症。特に注意したいのは腸の炎症なのだという。

「人間の体内にはいろいろな炎症があります。潜在的な喉の炎症や胃の炎症、いわゆる胃炎ですね。そういういろいろな炎症がある中で一番気をつけなければいけないのは腸の炎症。というのは腸は免疫を司っているからなんです。腸の炎症には食事によるものが多いので注意する必要があります」

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