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1万トン超えたパリのごみ…スト以前から汚くなっていた花の都

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 現在、年金制度改革に反対するデモとストが吹き荒れているフランス。パリをはじめ、いくつかの都市においてはごみ収集業者のストで、ごみが歩道にあふれる状態となっている。特にひどい状況のパリでは、イダルゴ市長の意図的な無策を批判する声が高い。だが、実はパリの「汚さ」は今に始まったことではない。

◆ハッシュタグ#saccageParis(パリの荒廃)
 パリの管理の悪さを批判するハッシュタグ「#saccageparis」が最初にツイッターで使われたのは2021年3月21日のことだった。この動きへの賛同者は多く、消されないまま放置されたスプレー落書きの数々、工事の後に舗装されないままになっている歩道、違法投棄されたごみが散乱する公道、手入れの行き届かない緑地帯、壊れたごみ箱などの目を覆いたくなるパリの汚れた街角写真が#saccageparisつきで投稿され、その数は1年で300万件に及んだ。

◆「汚くなった」パリ
 2014年からパリ市長を務めるアンヌ・イダルゴはスペイン生まれのスペインとフランスの二重国籍者で、社会党に属する。就任以来、良く言えば斬新、悪く言えば突拍子もない発想でパリの改造に熱中してきた感がある。なかには住民に忍耐を強いるものも少なくなく、筆者の周りでも不満の声がよく聞かれた。

 困難な移行期を経たとしてもパリ市の状況が改善されるのならば我慢もできるのだろうが、実際はイダルゴ氏が市長を務めるようになってからパリの町はより汚くなったと感じる人が多い。

 2021年のアンケート調査においては、84%がパリを「汚い」と感じており、80%のパリジアンがパリ市の秩序政策に不満を表明している。また、パリの衛生管理と維持に不満を持つ人は73%、ネズミの繁殖への対策に不満を持つ人も65%いた。ちなみに、故シラク大統領がパリ市長を務めていた1991年には、パリの町を汚いと答えた市民は53%だったから、その差は歴然としている。(ル・ポワン誌

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◆1万トンのごみにも無策のパリ市長
 今回のストでパリに溢れるごみの量は、17日の時点で1万トンを超えた。労働組合CGTは14日には、このストを少なくとも20日まで続けることを決めており、事態の好転はすぐには望めない状況だ(フランス・アンフォ、3/16)。

 だが、デモを行う労働者側に立つイダルゴ市長は、このごみ問題に最初から無策を決め込んでおり、それを批判する声は政治家らからも上がっている。パリ7区区長は、イダルゴ市長の無策がネズミの繁殖を助長していると批判。政府の広報担当者であるオリヴィエ・ヴェランや、運輸大臣クレマン・ボーヌもイダルゴ市長の姿勢を批判している。(同)

 この件に関してイダルゴ氏はパリ市長という立場上、パリの公衆衛生を管理する義務があるはずだが、言動からはその義務を放棄しているようにしか見えない。

◆ごみ収集業者の徴用を拒否
 パリ市議会のブルナゼル議員はパリ市に対し、ごみ収集業者を徴用するようにと発言(BFMTV、3/12)。国の介入を避けたいダルマナン内相も、パリ市がごみ収集業者を徴用するようパリ警察を通して圧力をかけた。だが、イダルゴ市長はこれを拒否。「国が自ら問題を作り出しておいて、その解決を地方自治体に求めるのは矛盾している」というのがその主張だ(フランス・アンフォ)。

 らちがあかない状況のなか、国は公衆衛生上の理由からこれ以上パリの惨状を放置しておけないと判断。内相の命を受けたパリ警察署長は15日夜、ごみ収集業者の徴用に踏み切ることをイダルゴ市長に通告した。(20minutes紙、3/16)

 これを受けパリ市は16日にごみ収集業者4000人のリストをパリ警察に渡したとされる。だが、具体的にどのように徴用するかは今後の課題だ。いずれにせよ、たまりにたまったごみ処理にも相当時間がかかると思われ、パリ市民の受難はまだしばらく終わりそうにない。

 
   

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