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【小説】「瓦礫に埋もれて死ぬだろう…」心を染めていく、やるせない思い

幻冬舎ゴールドライフオンライン

不器用な気質で、人との距離を感じて学校内で馴染めずにいたレッカ。それでも放課後になると市民病院にいる義姉のせせらぎルナに会いに行くことを楽しみに毎日を過ごしていた。そんなある日、「憑依生命体」という正体不明の狂戦士が現れ、ルナがいる市民病院を襲う。騒乱の中でなんとか彼女の元へ向かうレッカだったが、憑依生命体と対峙した時、「エフェクト」という力が覚醒して――。 ※本記事は、藪坂りーた氏の小説『俺たちのアビリティフォース』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

『非現実の幕開け』

現状を見て自力で解決する術(すべ)から手段を変え、梃(てこ)の原理を用いようと考えるが、それに適したつっかえ棒は周辺になく、残念ながら手伝ってくれそうな人もいなかった。

せっかく会えたというのに、打開策の一つも思い浮かばない。

俺は何て無力なんだろう……。

「……無理だよ」

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すると彼女が、必死にもがく俺を見て微かにそう言った。

俺一人では、持ち上がらない。残念ながら、ルナ姉の言葉からそう判断してしまう。

「……くっそおぉ!! 何だ!?」

俺が憤慨の声をあげた後、予兆もなしに病院が微かに地鳴りをあげる。

その地響きは外で起こったものと似ており、建物が揺れ天井から小さな瓦礫の破片がパラパラと俺たちに降り注ぐ。

「……憑依……生命体」

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