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現在の日本が抱える「食の課題」とは? 国民食“カレー”から日本の食料事情を考える

TOKYO FM+

青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。3月19日(日)の放送では、農林水産省 大臣官房参事官の小峰賢哉(こみね・たかや)さんに、「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」をテーマに話を伺いました。


(左から)青木源太、小峰賢哉さん、足立梨花



◆「カレー」から日本の食料事情を考える

近年、食品の価格の値上がりが激しいですが、その原因として、新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵攻、異常気象、円安など、さまざまな理由が複雑に絡み合っています。さらには、世界の人口が急激に増加していることから、食料需要も増大しています。

こうした現状から、今後も国内外のさまざまな要因によって、食料供給に影響を及ぼす可能性が十分に考えられるからこそ、私たちは、日本の食料事情を知り、考えて行動することが求められています。そこで今回は、日本の国民食とも言われる「カレー」から日本の食料事情を考えます。

私たちにとって、カレーは身近なメニューですが、カレーに使用される食材を一つひとつ紐解いてみると、日本の食をめぐる課題が見えてくると小峰さん。例えば、カレーに欠かせないさまざまなスパイスは、熱帯や亜熱帯が原産地であることが多く、気候条件などから国内では栽培が難しいものもあり、「海外からの輸入品に頼らざるを得ない」と言います。

カレーを家庭で作る場合、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、トマトなどの野菜は国産を使用する場合が多いと思いますが、加工業務用のカレーに使用されている野菜は、コストなどの理由で海外からの輸入品が使用されることも少なくありません。

お肉も同様に、国内で畜産された牛肉、豚肉、鶏肉を使用したとしても、その餌の原料であるトウモロコシや大豆かすなどは、その多くを海外から輸入しています。

一方で、「肉をジビエに変えれば、肉の自給率は100%になります」と小峰さん。野生の鳥や動物の肉をフランス語で「ジビエ」と言いますが、日本では、野生のシカやイノシシによる農作物被害が大きな問題となっていて、捕獲が進められています。

しかし、その捕獲頭数に対するジビエの利用量は現状10%ほどで、この利用拡大も課題となっており、これを解消するべく、今後もっと需要が増えて流通が促進されるように、農林水産省でも取り組みを進めています。

ジビエというと、普段食べ慣れていない人にとっては抵抗のある方も少なくありませんが、小峰さんは「ジビエは食文化をより豊かにしてくれる味わい深い食材です」と声を大にします。

野生のシカやイノシシは運動量が多いため、筋肉が発達していて脂肪が少なく、タンパク質が多い“低脂肪 高タンパク”の食材です。また、豚や鶏と比べると、鉄分やビタミンB12、亜鉛が豊富なため、「動物性脂肪の摂りすぎを抑えて、生活習慣病の予防にもつながるヘルシーな食材でもあるので、ぜひ、みなさんにもちょっとだけ試していただけたら」と話し、ジビエのさらなる普及を望みます。

また、カレーを「お米」で食べるか「ナン」で食べるかを考えても、食をめぐる課題が見えてきます。お米であれば、国内で生産できるため自給率は高くなりますが、ナンにすると、食材である小麦粉は国内でほとんど製造しているものの、原料となる小麦は8割以上を海外から輸入しているため、自給率は下がります。しかし、これを国産小麦の小麦粉や米粉にすると、自給率は上がります。

◆「ニッポンフードシフト」とは?

誰にとっても大事な“食”ですが、その背景にある農業や農村とのつながりを意識する機会がかつてより減っているのではないか、ということで、食と農業の距離を近づけるために、消費者、生産者、食料関係事業者など、日本の“食”を支えるあらゆる人々と行政が一体となって、日本のこれからの“食”について考えようという国民運動が、今回のテーマでもある「ニッポンフードシフト」です。

多くの方に日本の食料事情について考えてもらうきっかけ作りとして、企業と連携した情報発信、イベントを全国各地で実施しています。これらの取り組みについては、「ニッポンフードシフト(NIPPON FOOD SHIFT)」のWebサイトに掲載されているほか、日本の食と農業とのつながりの変化を分かりやすく解説したアニメーション動画や、カレーから見た日本の食料事情を解説した動画などを発信しています。

さらには、「ニッポン全国フードシフト中」というコンテンツ内で、食にまつわる課題の解決に実際に取り組まれている各地の事例などを紹介しています。例えば、「牛にも人にもやさしく」のアニメーションをクリックすると、ICT(情報通信技術)などの先端技術を導入したスマート酪農の事例が掲載されています。

これに小峰さんは、「最先端技術によって、牛舎の温度や湿度の管理のほか、牛の生育状況も把握しているんです。こうした先端技術によって、スタッフの(負担が減り)作業にも余裕ができていると聞いています」と説明します。

最後に、「みなさんは、昨日何を食べましたか? 一昨日は何を食べましたか?」と問いかけたうえで、「これは記憶力の話ではなく、“食”への興味・関心を深めていただきたいと思います。そして、その食事にはどんな食材が使われていて、それがどこで、どのように作られたのかなど、ぜひ考えてみていただければと思います。こうしたことが、“食”の未来をより確かなものにしていくきっかけづくりにつながると考えています」と思いを語りました。

今回のテーマを通して「ニッポンフードシフト」について初めて知ったという足立は、「食と農業との距離を近づけるために、日本の“食”を支えるあらゆる人々と行政が一体となって、これからの“食”はどうあるべきかを考えよう、という取り組みがあるのを知ることができた。(「ニッポンフードシフト」のWebサイトなどを活用して)楽しく知っていきたい」とコメント。

青木は「ジビエ」に着目。「“低脂肪、高タンパク”というところも惹かれました。国内の牛、豚、鶏であっても、飼料が海外から輸入されていたら自給率的には低くなってしまうけど、ジビエであれば国内でまかなえるので、これから注目していきたい」と関心を寄せていました。


(左から)青木源太、足立梨花



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聴取期限 2023年3月27日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/
 
   

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