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SVB破綻、2008年世界金融危機の再来にはならない理由

NewSphere


 今をときめくテック系スタートアップやベンチャーキャピタル(VC)との取引が多いことで知られるシリコンバレー銀行(SVB)は、「取り付け騒ぎ」という銀行業界で古くからある現象に見舞われ、3月10日に経営破綻した。

 アメリカにおける金融機関の破綻としては、2008年の金融危機のさなかに破綻したワシントン・ミューチュアル以来の規模である。その影響はすぐさま現れた。SVBと取引のあるスタートアップのなかには、賃金の支払いに迫られたほか、預金を引き出すまでプロジェクトの一時中断、従業員のレイオフや一時帰休の実施を懸念するところもあった。

 一体何が起きたのか。以下では、SVBが経営破綻した要因のほか、最も影響を受けた主体、アメリカの銀行システム全体に与える影響について知っておくべきことを説明する。

◆SVBが経営破綻した理由
 SVBは、昨年来のテック株価の低迷に加え、インフレに対処するために連邦準備制度理事会(FRB)が積極的に利上げを実施したことで大きな打撃を受けていた。

 同行は過去数年間、一般の銀行と同様に顧客からの預金を元手として数十億ドル相当の債券を購入していた。債券投資は一般的に安全とされるが、現在の高金利下では同等の債券と比べると受け取る利息も少ないため、資産価値が低下していた。

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 緊急時に売却するようなことがなければ、銀行は債券を長期にわたって保有し続けるため、通常は問題にならない。

 だがSVBの主要顧客は、昨年から資金需要が高まりつつあったスタートアップやテック系企業だった。VC資金が枯渇し、テック企業は採算の取れない事業の投資ラウンドで資金調達が困難になり、手持ち資金を活用する選択肢しかなかった。そのような資金はたいてい、テックスタートアップ界の中心的存在だったSVBに預けられていた。

 そして、SVBの顧客が預金を引き出し始めた。当初は大きな問題ではなかったが、引き出し額が多くなると、SVBは要求に応えるために保有資産を売却する必要が出てきた。同行の主要顧客は企業や富裕層で、政府が預金保険の上限として定めている25万ドル(約3300万円)を超える預金を保有していることも多く、銀行が破綻するのをかなり恐れていたとみられる。

 そのためSVBは、通常なら安全とされる債券を損切りして売却する必要に迫られ、損失が重なった結果、事実上の債務超過に陥ってしまった。外部の投資家からの資本調達を試みたものの、救済者は現れなかった。

 テック業界に特化した派手な銀行が、銀行界で最も古い現象とされる「古き良き時代の取り付け騒ぎ」によって破綻したのだ。銀行規制当局としては、SVBの残存資産と預金を保護するために同行の資産を管理下に置くしかなかった。

◆今後の見通し
 SVBは2つの大きな問題を抱えている。これらを早期に解決しないとさらに大きな問題に発展する可能性がある。

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