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イラン・サウジ外交関係正常化を仲介した中国の意図

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 イランとサウジアラビアが10日、外交関係の正常化で合意した。今後、イランとサウジアラビアは2ヶ月以内に相互の大使館業務を再開させるという。イスラム教スンニ派の盟主であるサウジアラビアは長年、アラビア半島で影響力を拡大しようとするシーア派の盟主イランの動きを強く懸念し、両者は中東での覇権をめぐって争ってきた。近年ではイエメン内戦をめぐって両国は代理戦争を展開し、サウジ領内へのミサイル攻撃を続けるシーア派武装勢力フーシ派をイランは支援してきた。両国は2016年、サウジアラビアによるシーア派聖職者の処刑をめぐり緊張が高まり、テヘランにあるサウジ大使館が襲撃されたことを受け、サウジがイランと断交した。

◆国交正常化によって中東はどうなるか
 今回の国交正常化による影響は大きく2つ考えられる。スンニ派の盟主であるサウジアラビアがイランと関係を改善させたことで、今後はこれまでサウジと同じようにイランと距離を置いてきたアラブ諸国も、イランとの関係見直しを進めてくる可能性がある。

 もう1つが、イスラエルの反応だ。近年、イスラエルは経済分野を軸にアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、スーダン、モロッコの4ヶ国と国交を正常化させ、サウジアラビアとの関係強化にも努めた。しかし、イスラエルが長年イランと敵対関係にあるなか、サウジアラビアとイランが外交関係の正常化に合意したことで、今日イスラエルの心境は極めて複雑だ。サウジアラビアとイランの関係改善は、今後のイスラエルとサウジの関係にも影響を与えそうだ。

◆中国の狙い
 最大のポイントはこの関係改善を仲介したのが中国ということだ。今日、中東でアメリカのプレゼンスが低下する一方、中国は一帯一路政策によって中東での影響力を拡大してきた。中国には中東での石油利権を確保したいという狙いがある。中国とイランは良好な関係を維持しつつ、アメリカとサウジの関係はバイデン政権になってから急速に冷え込んでいった。それが、サウジの中国接近に拍車をかける形となった。

 そして、中国には一つの思惑が見え隠れする。近年、台湾問題をめぐって米中の対立が深まっているが、中国は武力で台湾を制圧する選択肢を捨てていない。武力行使となればかなりのコストが生じることは間違いないが、習政権が侵攻の際に重視することの一つに国際評判がある。要は、侵攻した際、どれくらいの国が沈黙するか、非難しないか、中国に制裁しないかということだが、ウクライナ侵攻でも実際にロシアを積極的に非難、制裁したのは欧米や日本など30から40ヶ国にとどまっている。台湾統一を必ず成し遂げると断言している習政権としては、侵攻までの期間、中国の国際評判を高めることで侵攻しやすい政治環境を作り出したいはずだ。そういう意味では、今回の中東の大国サウジアラビアとイランの国交正常化を手伝い、国際評判を高めたことには大きな意義があるのかもしれない。

 
   

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