2023年4月14日より劇場公開される、フランスのセザール賞で作品賞ほか最多7冠を獲得した映画「幻滅」から、田舎の純朴な青年リュシアンと既婚の名門貴族ルイーズが孤独を埋め合う、草原での密会シーンの本編映像が公開された。
19世紀前半の牧歌的な田舎町フランスのアングレームで、小さな印刷所で働く青年リュシアンの心は、詩と愛する人への思いにあふれていた。彼の夢はいつかパリに出て、詩人として成功すること。そんな彼の良き理解者であり、憧れの人が、名門貴族で高齢の夫を持つルイーズ・ド・バルジュトンだった。
公開された本編映像は、そんなルイーズに愛の手紙をしたためるリュシアンの様子が、ろうそくの揺らめく薄暗い部屋に浮かび上がる。自らの詩心を理解する客がいなかった朗読会のことを「あの悲惨な午後」と思い出しながら、「孤立する貴方」に思いを募らせる。そして孤独なリュシアンとルイーズは心を通わせ、密会を重ねるのだった。
本作のメガホンを取ったグザヴィエ・ジャノリ監督は、リュシアンが憧れる名門貴族を演じたセシル・ド・フランスをキャスティングした理由について、「ルイーズというキャラクターを人間らしくしようと決めたときに浮かんだのがセシル・ド・フランスだった」と明かす。「バルザックは、上流社会に受け入れられるためなら何でもする覚悟のルイーズをどこか哀れで、惨めなものとして描いています。私としては、彼女がリュシアンのことを諦めるのを、より繊細で「悲劇的」に描きたかったし、社会によって感情が完全には壊されないようにしたいと思いました。ニュアンスをつけて、彼らの関係や年齢差をより複雑で感動的なものに描きたかった」と語っている。
「幻滅」は、19世紀フランスの文豪オノレ・ド・バルザックが書き上げた「幻滅——メディア戦記」を映画化した作品。主演のリュシアンを演じたのは、フランソワ・オゾン監督作「Summer of 85」のバンジャマン・ヴォワザン。純粋な青年が野心と欲望に惑わされ堕落していく姿を演じる。ヴァンサン・ラコスト、グザヴィエ・ドランジェラール・ドパルデュー、ジャンヌ・バリバー、ジャン=フランソワ・ステヴナンらが顔をそろえている。監督は、「偉大なるマルグリット」のグザヴィエ・ジャノリ。セザール賞で、作品賞を含む7部門で受賞を果たした。

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【作品情報】
幻滅
2023年4月14日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町他全国公開
配給:ハーク
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