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スピードスターレコーズ設立30周年記念特別版ロック祭り『LIVE the SPEEDSTAR』が大盛況

OKMusic

轟々たるフィードバックノイズを浴びながら、ROAR STAGEには藤巻亮太が意気揚々と登場。今年1月にリリースされた4thアルバム『Sunshine』から「この道どんな道」を歌い上げるアグレッシブな歌声が、会場の期待感を歓喜の先へと導いていく。さらに、レミオロメンとして2004年にリリースした「南風」で、フロア狭しとハンドウェーブが巻き起こしてみせる。

「ひとりひとりの思い出の中に、大事な人が浮かんできたり……そんな曲もあるかもしれません。だからこそ、僕も毎回、新鮮な気持ちで歌わせてもらっております」という言葉に続けて歌い上げたのは「3月9日」。ボーカリストとしての類稀なる表現力、感情の機微を珠玉のメロディへと結晶させるソングライティング……。ポップミュージックの訴求力と包容力そのもののような楽曲で、00年代以降の音楽シーンにその足跡を刻み込んできた藤巻の存在感が、この日のステージにも確かに花開いていた。

「藤巻亮太の現在地の曲だと思っています。不安なことも多い世の中だと思いますけど、みなさんの、静かに戦ってらっしゃる背中を、少しでも押せたらと思います」と披露したのは、2月にリリースされたばかりの配信シングル「朝焼けの向こう」。《諦めるなこの心よ/自分が自分であるために》——パワフルなバンドサウンドが、そして何より藤巻の圧巻のドライブ感が、ROAR STAGEの高揚感をさらに熱く煽り立てていく。そして最後、「今日は寒いですけど……雪まではいかなかったですよね? 最後に、パラッと降らしていきます!」と名曲「粉雪」で大団円! 歌の持つ力を誰もが最大限に体感し得た、至上のひとときだった。

Photo by 木下マリ (SOUND SHOOTER)
Text by 高橋智樹

M-1 この道どんな道
M-2 南風
M-3 3月9日
M-4朝焼けの向こう
M-5 粉雪

■ THE BACK HORN ■

荘厳なSEが流れTHE BACK HORNのステージの幕が上がる。地響きのようなドラミングに乗って荒々しくドライヴしていく「シンフォニア」で、いきなりフロアのボルテージはマックスだ。涙を流しながら咆哮するようなギターが響く名曲「罠」。亡霊のように彷徨う上音と、フロアの床を侵食するように迫ってくる低音に飲み込まれる「美しい名前」。まるでのっけからクライマックス同然のテンションである。

ここでMCを挟んで小休止。嵐の前の最後の静けさだ。「30周年おめでとうございます。所属してから22年が経ちましたけど、結成してから25周年が経ちました。スピードスターが持つ色の変態っぽさと言いますか、キャラの濃い素晴らしいアーティストがいっぱいいます。力に変えて帰ってください」。さあ、ここから怒涛のフィナーレである。

誰もが歌いたくなるようなメロディに惹きつけられる「希望を鳴らせ」が、再びフロアに火を付ける。会場の向こうまでぶっ飛ばすように拳を挙げて歌う山田将司(Vo)の姿が目に焼き付いて離れない。間髪入れずに「コバルトブルー」で畳みかけると、命の限りに叫ぶようなギターと、腹の底にズシンと響くようなベースにクラクラさせられた。強靭なアンサンブルに身を任せ、荒ぶるように身体を動かすヴォーカルもカッコいい。そのどれもが真摯で鮮烈、この歌だけは正面から受け止めなければ、と思わせる迫力があるのだ。

最後は「また会おうぜ」という言葉を残し「太陽の花」へ。咲き乱れるように細かいリズムを刻む太いベースに、嫌でも身体が揺さぶられる。美しい旋律とカオスが同居するサウンド、ドス黒いのに眩しいメロディ、間違いなくこのバンドだからこそ築けた音楽だろう。どこまでも愚直で手加減を知らない、聴く者に生きる糧を与えるようなライブに絶え間ない拍手と拳が上がっていた。

Photo by 木下マリ (SOUND SHOOTER)
Text by 黒田隆太朗

M-1 シンフォニア
M-2 罠
M-3 美しい名前
M-4 希望を鳴らせ
M-5 コバルトブルー
M-6 太陽の花

■ AA= ■

荒々しいドラムの響きに続いて、ハンドマイクスタイルで強烈なメッセージを放つ上田剛士のスクリーム、そしてROAR STAGEに吹き荒れるハイパーな轟音の嵐! いきなり未発表の新曲からスタートしたAA=のステージは、コンセプチュアル・アルバム『story of Suite #19』の収録曲「BORDER」へと雪崩れ込み、幕張メッセの熱気を熾烈な緊迫感と狂騒感で塗り替えていく。時代と向き合い時代と戦う音楽としてのハードコアのリアリズムが、2023年の「今」を芯から震わせていく。

上田剛士&白川貴善&児島実のパンキッシュな絶唱がメッセの天井を貫くように鳴り渡った「PICK UP THE PIECES」のダイナミズム。「NOISE OSC」から「The Klock」へとシームレスに繋ぐサウンドスケープに、世界の混沌を凝縮し炸裂させてみせた圧巻の展開……。衝撃と衝撃の軋轢の果てに、透徹した世界観と一筋の光を描き出す。まさに唯一無二の表現だ。

そして、「SPEEDSTAR RECORDSのレジェンド、そしてロックンロールのレジェンド、シーナ&ザ・ロケッツの曲――日本で一番ロマンチックなロックンロール、やります」という言葉とともに披露されたのは「ユー・メイ・ドリーム」。3月29日リリースの上田剛士初のカバーアルバム『TEENAGE DREAMS』にも収録されるシーナ&ザ・ロケッツの名曲が、時空を超えたロックの道筋を力強く照らし出していた。ラストの「FREEDOM」で再びROAR STAGEを震撼させた後、「みんなにとって、明日がいい日であることを願っています。どうもありがとうございました!」と語りかける上田剛士の姿に、惜しみない拍手が降り注いだ。

Photo by 木下マリ (SOUND SHOOTER)
Text by 高橋智樹

M-1 新曲
M-2 BORDER
M-3 PICK UP THE PIECES
M-4 NOISE OSC
M-5 The Klock
M-6 ユー・メイ・ドリーム
M-7 FREEDOM

■ 竹原ピストル ■

「お世話になっているSPEEDSTARに感謝を込めてやります、竹原ピストルです」が第一声。そう、彼の叫びはいつだって感謝の裏返しなのだろう。1曲目を歌い終わるや否や多くの拍手が起こり、一瞬の静寂が訪れた。のっけから余韻と期待に会場全体が包み込まれていたように思う。

「LIVE IN 和歌山」からは一層ゲインが上がっていく。時に語りかけるように、あるいは殴りつけるように歌う彼から目が離せない。一際緊張感を持って歌われたのが、ラップともポエトリーとも言える「ギラギラなやつをまだ持ってる」である。懸命さと隣り合わせの攻撃性、情けなさと引き換えに掴んだ意地、音楽と人生に誠実でいるからこそ歌える<傷跡ひっくるめて魂だ>というリリック。アコギ1本とは思えない迫力満点のサウンドが胸を打つ。

「もしよかったら疲れない程度に手拍子ください」と言われれば、ハンズクラップで応えないわけにはいかないだろう。リズミカルな音に乗せて優しいメロディを届ける「よー、そこの若いの」を歌い、本ライブのハイライト「Amazing Grace」へと繋がっていく。「皆さんが健やかに過ごされますように、お祈りの気持ちを込めて歌います」というセリフと、真心込めて呟くような最後の<Amazing Grace>という詩。その清らかさに圧倒された者は多いはずだ。

さて、ここで一呼吸を置くMCである。マスクをつけてもつけなくても、街中で誰からも気づかれないというエピソードが微笑ましい。怖いぐらいの誠実さとあどけないユーモア。竹原ピルトルはそのふたつがあるから頼もしい。最後は未発表曲の「アンチヒーロー」で終幕。一度限りの人生を懸命に生き抜く歌、タフな表現者に万雷の拍手が送られた。

Photo by 木下マリ (SOUND SHOOTER)
Text by 黒田隆太朗

M-1 おーい!おーい!
M-2 カモメ
M-3 LIVE IN和歌山
M-4 ギラギラなやつをまだ持ってる
M-5 よー、そこの若いの
M-6 Amazing Grace
M-7 今宵もかろうじて歌い切る
M-8 アンチヒーロー

■ LOVE PSYCHEDELICO ■

「LIVE the SPEEDSTAR」、ROAR STAGEの最後を飾るのはLOVE PSYCHEDELICO。NAOKIのギターが「Free World」のイントロをかき鳴らすと、フロアに自然とクラップがあふれ、KUMIの歌声がオーディエンスの心を重力から解き放つ。エバーグリーンなロックが描き出す、涼やかでタフなポップの多幸感。祝祭の夜はなおも刻一刻と高まっていく。

「SPEEDSTAR 30周年、みんなで楽しんでいこう!」というKUMIの言葉に続けて、最新アルバム『A revolution』の「Swingin’」、さらにNAOKIのアコギソロを挟んで、1stアルバム『THE GREATEST HITS』から「Your Song」へと繋いで、フロアを軽快なクラップの渦へと巻き込んでいく。そして、1stアルバムからもう1曲「Last Smile」。日本語と英語をしなやかに織り重ねて美しいグルーヴを刻むKUMIの歌声、聴く者すべてのメランコリアと共振するメロディ、研ぎ澄まされたバンドアンサンブル、むせび泣くようなNAOKIのソロフレーズ――。リリースから20年以上の時を経てなお、いや時代の変遷を経た今こそ、その楽曲の輝きは鮮烈に伝わってくる。

「Calling You」のタイトなビートで再びROAR STAGEを揺らしたところで、NAOKIが繰り出す「LADY MADONNA〜憂鬱なるスパイダー〜」のリフに場内が拍手喝采で沸き返り、KUMIの《won’t you cry?》のリフレインに応えてオーディエンスの手が頭上に揺れる。ラウドでもエクストリームでもない、しかし力強く揺るぎないポップの訴求力が、音楽の理想郷の如き高揚の風景を切り開いていく。熱演を締め括ったのは、最新アルバムのタイトルナンバー「A revolution」。《Ten to nothing, we’re behind/それでも奪えない僕らの世界はbeautiful》……困難な日常すらも奮い立たせるロックが、ここには確かに鳴り渡っていた。

Photo by 木下マリ (SOUND SHOOTER)
Text by 高橋智樹

M-1 Free World
M-2 Swingin’
M-3 Your Song
M-4 Last Smile
M-5 Calling You
M-6 LADY MADONNA ~憂鬱なるスパイダー~
M-7 A revolution

■ 鮎川誠FOREVER ■ (スペシャル映像上映)

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BARK STAGEで斉藤和義のライブが終わった直後、画面に「NEXT ARTIST シーナ&ロケッツ」という文字が。この『LIVE the SPEEDSTAR』に出演するはずだったが、鮎川誠が1月29日に亡くなったため、出演をキャンセルせざるを得なかったシーナ&ロケッツは、スピードスター立ち上げの時から現在まで所属する唯一のアーティストであり、レーベルを象徴する存在だった。その功績を振り返り、追悼の意を表す企画が、彼らの出演の代わりに、ここで行われたのだった。

スピードスターからのメッセージと企画の趣旨を文字で伝えた後、「短い時間ではありますが、ありし日の雄姿をご覧ください」と、シーナ&ロケッツ(シーナの産休時に鮎川誠がボーカルで活動していたロケッツの曲も含む)の、テレビ出演時や、MVや、ライブの映像が流れる。

「ホラ吹きイナヅマ」。「Rock Is Alright」。キンクス「YOU REALLY GOT ME」のカヴァー。「スイート・インスピレーション」。「ロックの好きなベイビー抱いて」。「ラフネックブルース」……。
 
「レモンティー」の貴重なライブ映像は、長めの尺で見せてくれた。ラストはシナロケの最初の代表曲である「ユー・メイ・ドリーム」。すべての映像が終わり、鮎川誠の声が響き、彼の手書きメッセージが画面に現れた。それが消えると、大きな拍手がBARK STAGEを包んだ。


【配信情報】

当日の公演はU-NEXTにて配信も行います。U-NEXT独占見放題ライブ配信!
ライブ配信:4月1日(土)16:00 / 見逃し配信:4月9日(日)23:59まで


【アンケート実施中】

LIVE the SPEEDSTARのアンケートを実施中!ご参加いただいた方の中から抽選で10名様にSPEEDSTAR RECORDS 30th Anniversaryタオルをプレゼントいたします。アンケートフォームと概要は下記URLからご確認ください。
https://speedstar.jvcmusic.co.jp/lts_form

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