
本日(17日)日本テレビ系・金曜ロードショーで1998年のメガヒット作『アルマゲドン』が放送される(夜9時~10時59分)。地球に小惑星が急接近し、このままでは人類が滅亡してしまう! 小惑星を爆破するべく、穴掘りのプロ、すなわち石油掘削の荒くれチームが宇宙に派遣されるディザスター超大作で、ヒロイックなキャラクターを演じ続けたブルース・ウィリスのキャリアでも、“地球”という最もデッカイものを救った映画だといえる。(村山章)
ウィリスは昨年3月に失語症を理由に引退を発表。先月には認知症と診断されたことが発表されたばかり。スクリーンで活躍する姿が観られないことは寂しい限りだが、家族や元妻デミ・ムーアのサポートを受けて療養生活を送っていることは、ファンとしてはホッとするところでもある。とはいえ150本近い出演作数を誇る超多作なスターだけに、どの映画から観たらいいのか迷ってしまう人もいるだろう。ということで、ウィリスならではの魅力が堪能できる代表作、オススメ作を5本紹介したい。
『ダイ・ハード』(1988)
ブルース・ウィリスを語る上で絶対に外すことができない大出世作にして、巻き込まれ型アクションの最高峰『ダイ・ハード』。ウィリスが演じるジョン・マクレーン刑事が妻の職場の超高層ビルを訪ねると、ビルがテロリスト集団に占拠されてしまう。マクレーン刑事は武器もなければ靴も履いていない絶体絶命の状態で、たった一人でテロリストに立ち向かうハメに……。
公開当時のウィリスはテレビドラマ「こちらブルームーン探偵社」で人気を博してはいたものの、まだテレビ俳優と映画スターに圧倒的な格差があった時代。クリント・イーストウッドら錚々たる顔ぶれに断られて、めぐりめぐってウィリスにやってきたオファーだった。
しかしフタを開けてみれば、筋骨隆々でも超人でもないウィリスが、持ち前のユーモアを交えてボヤキながら、満身創痍になって活躍する姿が大ウケ。普通でもアクションスターになれることを証明した革命的名作であり、いま観ても色褪せることのない圧倒的な面白さを堪能できる。
『パルプ・フィクション』(1994)

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クエンティン・タランティーノ監督の長編二作目にしてカンヌ国際映画祭パルム・ドール(最高賞)に輝いた犯罪群像コメディー『パルプ・フィクション』。ウィリスは八百長試合を引き受けた落ち目のボクサー役。ところがカネだけ受け取って高跳びしようとしたことで、ギャングから追われる身に。まったくヒロイックな役どころではないのだが、思いがけない成り行きで自分を狙うギャングのボスを助けることに。タランティーノが日本映画が好きという理由で作中にねじ込んだ、日本刀を構えるウィリスのカッコいい立ち姿が拝めます!
『アンブレイカブル』(2000)

『アンブレイカブル』は、ブルース・ウィリスがメガヒット作『シックス・センス』に続いて奇才監督M・ナイト・シャマランとタッグを組んだ超常スリラー……と見せかけて、実はシャマランが独自の視点でアメコミの世界に踏み込んだトリッキーなヒーロー映画。
主人公のデヴィッドは、悲惨な列車事故の唯一の生存者。しかも傷を一切負わなかったことから、自分は不死身なのかも知れないと考え始める。もしあなたが不死身だとしたら、その力を何のために使う? ウィリスが正義の味方として目覚めていく男を熱演。長いキャリアでも真正のスーパーヒーロー役は珍しい。
ウィリスは本作の17年後に同じ世界観を共有する『スプリット』(2017)にカメオ出演してデヴィッド役を再演。さらにシリーズ完結編『ミスター・ガラス』(2019)ではサミュエル・L・ジャクソン、ジェームズ・マカヴォイとトリオで主演を務めており、20年がかりで演じた当たり役となった。
『16ブロック』(2006)

ブルース・ウィリス史上、最もヨレヨレの姿を晒した犯罪アクション『16ブロック』。というのも、ウィリスが演じたジャック・モーズリーは、アルコールで身を持ち崩したヤル気ゼロの中年刑事。ところが勤務を終えて帰ろうとしたところ、上司に強引にねじ込まれて裁判の証人を裁判所まで送り届けることに。わずか16ブロックの距離を護送するだけの仕事のはずが、証人を消そうとする悪徳警官たちに命を狙われてしまう。
どんな映画より情けなくて弱そうなウィリスだが、窮地に陥るとなけなしの正義感を発揮して、何とか証人の命を守ろうと奮闘する。そして気がつけば、自分の命も投げ出そうとする自己犠牲に胸が熱くなる。ボヤキながら活躍するのがウィリスの定番とはいえ、これほど振り幅が大きい役も珍しいだろう。地味シブながら活劇の面白さがギュッと詰まったソリッドなエンタメ作だ。
『G.I.ジョー バック2リベンジ』(2013)
