そのIWAKURAはおそらく、めぐみら岩倉家がすべての株を握る同族企業だろう。一時は経営危機を乗り切るために息子の悠人に工場や土地を買収してもらったことがあり、その後に権利をめぐみに戻した経緯がある。それゆえこれまでは会社の所有と経営は完全に一致していたのである。
「その状況が結城に社長を譲ることにより、いわゆる『所有と経営の分離』が図らずして実現することになります。もとよりめぐみは職人ではなく、一方で若いころから経理を担当してきたことから、工場の経営はベテラン職人の結城に任せ、お金の流れが分かるめぐみが株主として経営状況を監視するという役割分担は理想的。IWAKURAがさらなる業務拡大を目指すためには望ましい状況だと言えるのかもしれません」(前出・週刊誌記者)
片や介護問題、そして片や会社経営と、いきなり二つの社会問題を投下した今回。ファンタジーと化していた物語にリアリティを与えることで、最終回に向けて有終の美を飾れるように軌道修正しているのではないだろうか。