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領収書を1枚1枚見て国税庁サイトでいちいち確認。打ち間違えたらやり直し…「2023年10月開始の制度」で経理に待ち受ける“苦難”

幻冬舎ゴールドオンライン

「2025〜2035年までに99%がコンピュータに仕事を奪われる」と予測されているのが経理事務員の仕事です。それにも関わらず、経理は最もDXが進んでいないと言われている分野と言われています。そのせいで、テレワーク・在宅勤務もできない状況です。経理のDXについて、税理士・児玉尚彦氏、上野一也氏の共著『改正電子帳簿保存法とインボイス制度対策のための経理DXのトリセツ 』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

消費税インボイス制度で変わる経理処理

インボイス制度(2023年10月施行)により、事業者が発行する請求書や領収書の様式が変わります。

会社が発行する請求書や領収書には、会社の登録番号(会社が税務署へ登録申請。「T+13桁の法人番号」)を記載します。登録番号の記載のない請求書や領収書は、インボイス(適格請求書)とはみなされず、仕入税額控除ができなくなります。

経理として負担となるのは、取引業者から受け取る請求書や領収書の確認作業が増えることです。登録番号が記載されているかどうかを確認して、記載がない場合、消費税の課税区分の取り扱いを「課税対象外(不課税取引)」に変更しなければなりません。

ただし、これに関しては経過措置があり、当初6年間は登録番号がなくても一部仕入税額控除が認められます(当初3年間は80%仕入税額控除、次の3年間は50%仕入税額控除、その後は仕入税額控除なし)。

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したがって、仕入れや経費の支払いや設備等の購入のときには、毎回必ず請求書や領収書の登録番号を確認してから、消費税の取り扱いを判定して経理処理をすることになるのです。会計システムをインボイス制度対応版にバージョンアップすれば、それで対応完了というわけにはいかないのです。

請求書や領収書を見ながら、会計システムに仕訳伝票を入力している担当者にとっては、確実に作業量が増えることを意味します。

(注)仕入税額控除とは、売上にかかった仮受消費税から仕入経費にかかった仮払消費税を差し引いて納税する制度。簡易課税事業者および免税事業者は経理処理の変更なし。

【図1】インボイス制度で変わる請求書の様式

領収書を1枚1枚見て国税庁サイトで確認

定期的に取引をしている業者からの請求書であれば、毎回インボイス登録番号の記載を確認する必要はないでしょう。

面倒なのは、社員の立替経費の精算申請で添付されてくる領収書です。経理担当者は、まず領収書に登録番号の記載があるかどうかを確認します。たとえ登録番号が記載されていたとしても、その番号が適正なものかどうかを国税庁のサイトにアクセスして検証する必要があります。

正規の登録番号であることを確認した後に、ようやく消費税の「課税仕入(仕入税額控除対象)」として経理処理できるようになるわけです。

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