
現代では当たり前でも、江戸時代なら“大発明”。次々生まれる新たな品に魅了される人々。しかし、事態は思わぬ方向に転がっていき――。※本記事は、小金持銅銭氏の小説『流れ星』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
第一話 ペニシリン
……!?……
南の瘡毒対策は、一ヶ月で全店終わった。
「これで完了ですね」
「ご苦労様でした。でも思ったより早かったな」
広告の後にも続きます
「各店の店主さんも治すのに賛成したのは、元締が瘡毒対策を理解してくれて、一番協力してくれたからですよ」
「目の前の金より将来の廓運営の方が大事だからな」
「話の分かる元締さんで良かったですよ。でなければ出来なかったかもしれませんね」
「これで女郎もお客も瘡毒の心配がなくなるからな」
「そうですね。あとはマラサックさえ付けていれば、“ややこ”も出来ませんからね」
「そうだな」