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富裕層増税を目指すバイデン政権 世界で最も税率が高い国は?

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 3月9日、バイデン政権は2024年度の予算教書を発表。さまざまな投資計画が含まれるなか、注目されているのは、その財源としての富裕層に対する増税方針だ。

◆バイデン政権の予算教書
 バイデン大統領は就任後の2年間、アメリカの財政赤字を1.7兆ドル(約229兆円)削減したが、今回発表された予算教書では、この先10年間で財政赤字をさらに3兆ドル(約404兆円)削減するという計画が盛り込まれている。そのための主要な財源が、富裕層および大企業に対する増税案だ。一方、子供を持つ家庭に対しての税額控除も盛り込まれた。

 税制改革の具体案は5つ。1つ目は富裕層への課税。予算案では富裕層の上位0.01%に対して25%の最低課税率が盛り込まれている。2つ目はより公平な法人課税。トランプ政権による2017年の減税政策により法人税率は10%以下にまで下げられた。今回の予算案では、法人税率28%に設定されている。ちなみに2017年の税率は35%であった。3つ目の案は、多国籍企業のオフショアを回避するとともに、アメリカ拠点の多国籍企業の海外収益に対する税率を現在の10.5%から21%に引き上げるというもの。4つ目は、株の買い戻しに対する課税率の1%から4%への引き上げ。そして5つ目が、トランプ政権下で導入された富裕層に対する減税政策の巻き戻しだ。年収40万ドル(約5400万円)以上の富裕層に対して39.6%の税率を再導入し、年収100万ドル(約1.4億円)以上の層に対しては、そのキャピタルゲインに対しても所得と同じ税率を課す。

◆世界の税率比較
 税制はアメリカでは州によって異なるが、概してアメリカの税率は他国に比べて低い。ワールド・ポピュレーション・レビューの2021年の調査結果によると、対象の150ヶ国中、個人の所得税率が最も高いのはコートジボワールの60%、続いてフィンランドの56.95%、日本の55.97%と続く。法人税率に関してはプエルトリコが37.5%と最も高く、スリナム、チャドと続く。チャド以外に、赤道ギニア、ギニア、スーダン、ザンビアとアフリカの5ヶ国が、法人税率が高い国のランキングのトップ10に含まれている。消費税(売上税)に関しては、ブータンが50%と最も高く、続くハンガリーの27%との大きな開きがある。ちなみにアメリカは州によって消費税は異なるが、最も高いのがカリフォルニア州の7.25%で、デラウェア州には消費税はない。

 外国人投資家にとっては、極めて低い税率が設定されているいわゆるタックス・ヘイブンと呼ばれる国が魅力的だ。その代表格は、ルクセンブルク、ケイマン諸島、モーリシャス、モナコ、スイスなど、小国や島国が中心となっている。バイデン政権の予算教書は今後、共和党が過半数を占める上院議会で議論されるため、必ずしも富裕層への増税案が採択されるという見込みはない。しかしながら、富裕層に対する増税の議論が進むことによって、アメリカの富裕層がますますタックス・ヘイブンや税制の抜け穴に依存するということも懸念される。

 
   

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