
「2025〜2035年までに99%がコンピュータに仕事を奪われる」と予測されているのが経理事務員の仕事です。それにも関わらず、経理は最もDXが進んでいないと言われている分野と言われています。そのせいで、テレワーク・在宅勤務もできない状況です。経理のDXについて、税理士・児玉尚彦氏、上野一也氏の共著『改正電子帳簿保存法とインボイス制度対策のための経理DXのトリセツ 』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。
経理DXへの移行順序の理想と現実
理想の経理DXの進め方は「経理部内→社内業務→社外取引」
経理DXは、本書で説明しているとおり、次の順に取り組むのが理想的です。
①経理部内のデジタル化
②社内業務のデジタル化
③社外取引のデジタル化
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忙しい日常業務を処理しながら、並行して新しいデジタル化に向けての仕事に取り組むのは大変です。毎日フルタイムで経理業務を担当しているとしたら、残業しないと回らなくなってしまいます。
ですので、まずやらなければならないのが、現状の経理部内の時間がかかるアナログ作業をやめることです。何かをやめないかぎり、新しい仕事はできません。「キャッシュレス」「ペーパーレス」「ハンコレス」にすることにより、現金・紙・ハンコでの作業時間を削減し、時間を創出するのです。
次に、創出された時間を使って、経理に関連する社内業務(経費精算、仕入支払、売上回収)のデジタル化に取り組みます。
経理部内でのデジタル化の効果を社内にアピールしながら、他部門と協力して社内のアナログな書類申請等の作業をデジタル的なワークフローの仕組みへ置き換えて、部門間で電子データを連動していきます。
最後の仕上げが、顧客や取引業者からの請求書や領収書のデジタル化です。この段階では、すでに経理部や事業部において基本的なデジタルデータの共有と連携の仕組みができているので、電子取引や紙書類のスキャナ保存にも容易に対応が可能です。
大事なことは、アナログ作業をやめながら時間に余裕を作り、空いた時間で次のデジタル環境を整備しながら進めることです。そうすれば、スムーズな経理DXが実現できます。
