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コンパクトカーの発表ナシで「テスラ」の株価は急落!? それでもイーロン・マスクの発言が実は凄かった理由

週プレNEWS


昨年のEV世界販売でも首位をキープしたテスラ。3月1日のインベスターズデイの内容に投資家は失望したようだが……
2022年3月1日、テキサス州オースティンで行なわれたテスラのインベスターズデー(投資家の日)でのイーロン・マスクの発表に、株主が失望したと報道されている。翌日、テスラの株価は6%近く下落した。失望の最大の原因は投資家が期待したコンパクトカーの発表がなかったという点だった。

アップルの故スティーブ・ジョブズはプレゼンの最後に「ワンモアスィング(そうそうあとひとつ)」と切り出して、投資家が驚愕する新製品を発表する演出を好んで使っていた。それに慣れた投資家は、イーロン・マスクの「今日は長期的なビジョンを発表する日だよ」という、事前予測通りのサプライズのないプレゼンにがっかりしたようだ。

ところが、投資家にウケなかったイーロン・マスクの長期的なビジョンの中身はなかなかに衝撃的なものだった。今回の記事ではその中身についてお話ししたい。


神妙な面持ちで登壇したイーロン・マスクCEO
日本ではEV(電気自動車)はまだそこまで売れていない。一昨年までは新車販売の0.5%の台数しか売れていなかった。昨年、日産のEV軽自動車「サクラ」がヒットしたことでようやく1.7%まで上昇したが、現状その程度だ。

一方欧州では、新車販売全体に占めるEVの比率は直近では15%まで上がってきた。中でも自動車王国のドイツは18%と、EVシフトが鮮明になってきている。

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中国の新車のEV比率は昨年後半で20%台を突破。テスラの本拠地であるアメリカのカルフォルニア州でもEVの新車に占める割合は17%で、EVの売れ行きは自動車業界のホットイシュー(注目点)となっている。

昨年末にテスラの株価が大きく下落した理由は、「これからはEV販売が激化するから」という予測からだ。確かに2021年まで世界のトップはテスラだったが、2022年下期に中国のBYDがEV販売台数でテスラを抜いたと宣言している。

世界のEV販売ランキングのトップ20には中国メーカーがずらりと並ぶ。「中国の低価格EVに世界は席巻されてしまうだろう」というのが弱気な株価の理由である。

■過当競争を生き残る低コストの実現

さて、そこでテスラの長期ビジョンの話に戻る。実はこの日のプレゼンでテスラのイーロン・マスクは、凄いことを3つ言っている。ひとつめはEVの製造コストを半減させるめどがついたという話だ。

テスラの一番の売れ筋SUVであるモデルYの価格はアメリカでは5.5万ドルだが、その製造原価は3.5万ドル近辺だと推定されている。これは乗用車としてはまだ高いが、EVの製造コストとしては非常に低い。

日本の自動車メーカーがモデルYを分解したところ、低コストにするための工夫が満載である点に驚愕したぐらいだ。1台売れるたびに2万ドル(約270万円)の利益が出るのがテスラの強みで、この点で現時点でもテスラは圧倒的に優位な立場を築いている。

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