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彼の部屋で「お泊まり用の化粧品を置いていってもいい?」と尋ねたら…。男が放った、ゾッとする一言

東京カレンダー

彼の部屋で「お泊まり用の化粧品を置いていってもいい?」と尋ねたら…。男が放った、ゾッとする一言

高いステータスを持つ者の代名詞の1つともいえる、都内の高級タワーマンション。

港区エリアを中心とした都心には、今もなお数々の“超高級タワマン”が建設され続けているが…。

では果たして、どんな人たちがその部屋に住んでいるのだろうか?

婚活中のOL・美月(28)と、バリキャリライフを楽しむアリス(28)。2人が見た“東京タワマン族”のリアルとは…?

▶前回:机の上に並ぶ“アレ”を見てビックリ…!彼の家まで行った女が「この人とは付き合えない」と確信したワケ



美月「そろそろ婚活にも疲れてきた…」


「うう、寒い…」

もう春はすぐそこだというのに風が冷たくて、薄手のトレンチコートを着てきたことを後悔する。深夜0時。神楽坂の石畳にヒールがはまらないように気をつけながら、私は肩をすくめて歩いた。

石畳とヒールの相性が悪いことなんて、百も承知である。

でも神楽坂は大人な雰囲気が漂う場所だから、少し背伸びをしないといけない街なのだ。

思えば、私はいつも“いいオンナ”になりたくてずっと頑張ってきた。

それでも結局、今日もまた1人で夜の街を歩いている。何者にもなれていないし、30歳までに結婚したいという願いも叶いそうにない。

「何を、どこで間違えたんだろう…」

妥協できれば良かったのだろうか。もっと早くに、そのとき付き合っていた彼氏と結婚しておけば良かったのだろうか。

「あのときこうしておけば…」という思いばかりが募る。私も早く結婚して、余裕のある暮らしをしたい。1人きりでがんばることにも、そろそろ疲れてきた。

そんな私を、神楽坂という街が暗く深く包み込んでいった。


オトナな神楽坂タワマン男の、色気と余裕に惑わされて…。


衛さんと出会ったのは、学生時代の友人である桜からの紹介だった。

桜は昔から年上が好きで、今の彼氏は二回りくらい年上だという。その彼氏の後輩が「誰か紹介してほしい」とのことで、私が呼び出されたのだ。

今年で45歳になるという衛さんは、想像していたよりずっと若く見えた。でも年上の経営者らしく落ち着いていて、その雰囲気が私には心地良かったのだ。

「美月ちゃんは、可愛いね」

何をしても、どんなときも「可愛いね」と言ってくれる衛さん。今思うと、私のことを娘のような気持ちで見ていたのだろうか…。

そんな衛さんの“大人の余裕”に、私がすっぽりと包まれるのは時間の問題だった。



3回ほど神楽坂でデートをした後、衛さんの家へ行くことになった。

「一応神楽坂なんだけど、ちょっとだけ歩くからタクシーに乗ろうか。綺麗な靴が汚れたら大変だから」

そんなスマートなエスコートをされながら向かったのは、神楽坂の端にある24階建てのタワーマンション。ほとんどの人が一度は聞いたことがある、超有名ブランドのタワマンだ。

「…ここですか?」

最近不動産に興味を持って色々調べている私からすると、このマンションは永遠の憧れ。むしろ最高峰と言っても過言ではない。

「そうそう。来たことあった?」
「ないです!!」

エレベーターで一緒になった人は、バケットハットを深く被っている。私は、芸能人かと思ってついドキドキしてしまった。

「わぁ、綺麗な夜景…」

衛さんの部屋は角部屋で、後楽町方面の夜景が綺麗に見えた。港区や渋谷区とはまた違う景色。東京ドームが青く光って見えて、思わず窓に吸い寄せられる。



「ここは同じシリーズのほかの物件に比べると少し安いんだけど、この眺めが好きで。元々実家が下町のほうだから、何だか落ち着くんだよね。港区方面は疲れちゃうから(笑)」

そのギラギラしていない感じも最高だった。

最近、私も同じようなことを思う。港区や渋谷区は楽しいけれど、特にタワマンに住んでいる独身の男性は上昇志向が強く、我が強い人も多い。

自分自身が頑張って成功してきたからこそ、女性に求めるレベルも必然的に高くなる。

そんな彼らに見初められたくて、必死に自分磨きをしてきた。シャンパンの銘柄にも詳しくなったし、外見を磨くにはお金もそれなりにかかるので、仕事も頑張ってきた。

でもふと「私、何やってるんだろう…」と思うことが増えたのだ。

なんのために頑張っているのか。本当に港区タワマン族系の男性と結婚して、幸せなのか…。

永遠に出ることのない答えを、ずっと探している。

「美月ちゃんは偉いよね。東京で、女の子が1人で暮らすことって意外に大変なのに。すごく頑張ってる」

振り返ると、衛さんが微笑んでいる。

ずっと言ってほしかった言葉を不意に投げかけられた私は、泣きそうになるのをこらえながら彼の胸に飛び込んだのだった。


男が「好きだけど付き合えない」と言う理由


それから私たちは2週間に一度、金曜の夜は一緒に過ごすようになった。いつも衛さんがいいお店を予約してくれて、そのまま彼の家へ行って1泊するというのが定番のルートだ。

「美月ちゃん、仕事は忙しいの?」
「そうだね…。忙しいから疲れちゃった」
「お疲れさま。今度、温泉でも行く?」
「いいの?行きたい!!」

実際、衛さんと過ごしている時間はかなり居心地が良かった。何をしても許してくれるし、多少のわがままなんて「可愛い」と返してくれる。

そんな彼に、私は会えば会うほど惹かれていった。

でも同時に、何度会ってもどこか詰めきれない“距離”も感じていたのだ。



「衛さん。毎回荷物持ってくるの面倒だから、お泊まりセットを置いてもいい?」

ある日、思い切ってそう尋ねたときのこと。いつも優しくて、何をしても「いいよ」と言ってくれる衛さんなのに、なぜかお泊まりセットだけは許してくれなかった。

「う~ん。…それはちょっとアレかな。部屋着は僕のを着ればいいし、化粧品は小さいのを持ってきたらいいんじゃない?」
「そっか…。わかった」

それ以上私は聞かなかった。いや、聞けなかった。どこかで気がつきながらも、真実を見たくなかったから…。

ただ私たちが初めてデートをした日から、もう3ヶ月が過ぎようとしている。こうやって毎回自宅に泊まるし、デートもする。なのに衛さんからは一番聞きたい言葉が聞けていない。

「衛さん。私たちって、付き合っているということでいいんだよね?」

痺れを切らし、そう問いかけてみた。でもそんな私に対し、衛さんは少し気まずそうに視線をそらしたのだ。

「ごめん、美月ちゃんのことは可愛いし好きなんだけど…。現状付き合うってことができないんだ」



「そっか…。そうだよね、わかった」

最後くらい大人なフリをさせてほしかったし、物わかりのいい女でいたかった。

でもハッキリ断られるのは、想像以上にツラくて…。私はとりあえず急いでカバンとコートを持つと、衛さんの家を飛び出した。

「ごめん、明日朝早いから帰るね。ありがとう、お邪魔しました」
「え!美月ちゃん、ちょっと待って…」

長い廊下を抜け、エントランスを出て後ろを振り返ってみる。でも、衛さんは追いかけてきてはくれなかった。

「そっか…。これが答えか」

頭の中を整理したくて、私は何となく神楽坂の駅を目指して歩き始めた。衛さんのタワマンから、駅までは徒歩10分くらいだっただろうか。石畳のエリアに着く頃には、すっかり足が痛くなっていた。

「もう疲れたな…」

私はこのまま結婚できないのだろうか。世の中にはこんなにも男性がいるのに、どうして毎回うまくいかないのだろう。

なんだか恋愛落第生の烙印を押された気がして、胸が張り裂けそうに痛い。

結婚できない真実だけが今の私に重くのしかかり、そしてその重圧にもう耐えられなくなりそうだった。

「婚活、やめようかな」



ちなみに衛さんが実は既婚者で、数年間に渡る泥沼の離婚調停中であることを、私は後日知った…。


▶前回:机の上に並ぶ“アレ”を見てビックリ…!彼の家まで行った女が「この人とは付き合えない」と確信したワケ

▶1話目はこちら:気になる彼の家で、キッチンを使おうとして…。お呼ばれした女がとった、NG行動とは

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訪れ始めた、それぞれの転機


 
   

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