3⽉4日と5⽇、静岡県富士水泳場で行われた「2023日本パラ水泳春季チャレンジレース」。
7月にイギリスで開催予定の「マンチェスター2023WPS世界選⼿権⼤会」(以下、マンチェスター2023)、10月に中国で開催予定の「杭州アジアパラ競技大会」の選考会を兼ねており、日本代表の座をかけて熱戦が繰り広げられた。

パリ2024パラリンピックの前哨戦となるマンチェスター2023に出場するには、代表選考に関わる派遣基準を突破することが第一条件だ。今大会では、男子13人、女子11人がその関門を突破した(アジアパラの派遣基準突破選手は、男子27人、女子24人)。
ここでは、国内のライバルとしのぎを削りながら、マンチェスター2023日本代表の座を勝ち取った選手の戦いを振り返りたい。
平泳ぎの福⽥果⾳がアジア新!

大会初日。満面の笑みでインタビューエリアに現れたのはSB8クラスの高校生・福⽥果⾳だ。女子100m平泳ぎでは、昨年ジャパンパラで樹立した自身のアジア記録を上回る1分25秒55。2度目の世界選手権代表を決めた。
生まれつき左腕の肘から先がない福田は、健常者の大会に出場するなどして今大会にピークを合わせた。自己ベストには「満足している」が、前半のタイムは「目標より遅かった」と語っており、マンチェスター2023ではさらなる記録更新が期待される。
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隣のレーンを泳ぎ、福田のアジア記録を祝福した、元日本記録保持者・宇津⽊美都も、1分27秒60をマークし、派遣基準(1分28秒79)をクリア。新旧日本記録保持者が揃って世界選手権切符を掴んだ。

窪⽥幸太、⽥中映伍らが初の世界選手権代表に

男子S5クラスの50mバタフライは、昨年の世界選手権で初メダルに輝いた⽇向楓が35秒54で派遣基準突破。同じ両腕欠損で、隣のレーンを泳いだ⽥中映伍が36秒07で迫り、高校生の2人が共に世界への切符を獲得した。
今年1月の大会で「今年中にいま、日本で一番の日向くんに勝ち、パリに向けて自信をつけたい」と話していた田中。一方の日向も、今大会を終え「ライバルも一緒に派遣を切れてよかったけれど、タイムが近づいてきているので危機感がある」と話し、対抗心をのぞかせた。
東京パラリンピックでは中国勢が表彰台を独占した同種目。マンチェスター2023では、国内でしのぎを削り合ってきた日本勢のスピードを見せつけたい。

続いてライバル対決の激しさを増しているのが、マンチェスター2023で日本の複数選手表彰台が期待される男子S8クラスの100m背泳ぎ。昨年9月に行われたジャパンパラのレポートでも触れた通り、左上肢機能障がいの窪⽥幸太と右肩関節機能障がいの荻原⻁太郎による競い合いが見どころとなっている。
今大会では、昨年6月に神戸市民選手権で1分07秒26の日本記録を保持する荻原に対し、「背泳ぎのエースは俺だ」と言わんばかりに、窪田が大きく突き放す格好で日本記録を奪い返した。
