
こっそり血を吸う蚊よりエグいわ。鋭いくちばしをアオアシカツオドリなどの皮膚にザクザク突き刺し、流れ出た血をおいしくいただくという。
わりと小柄で丸っこくかわいらしい見かけとはうらはらに、ヴァンパイアの異名をもつその鳥は、ガラパゴス諸島に生息するハシボソガラパゴスフィンチの亜種だそう。
ということで流血注意で吸血鳥に迫ってみよう。
鳥界の吸血鬼!ハシボソガラパゴスフィンチの亜種
鳥の世界の吸血鬼、通称ヴァンパイアフィンチは、ガラパゴス諸島にある2つの小さな島ダーウィン島とウォルフ島のみに生息する。
分類的にはスズメ目 フウキンチョウ科 ダーウィンフィンチ類(またはガラパゴスフィンチ類)に属するハシボソガラパゴスフィンチの1種だが、血を吸う習性がみられるのはその2つの島に生息するハシボソガラパゴスフィンチの亜種のみだそう。
その習性を知らない人にはやや小柄でかわいいただの鳥。だがなんと彼らのくちばしは果実やナッツも突き破るほどとても鋭く頑丈で、同種のフィンチのくちばしより長い傾向にあるという。

鋭いくちばしで2種の海鳥の皮膚を傷つけて吸血
その吸血シーンはなかなか痛々しい。蚊みたいに極細の口でさっと吸うんじゃなく、自分より大きな鳥の皮膚を鋭いくちばしで突っついたりついばんだりして傷つけまくり、流れてきた血をいただくというからだいぶえげつない。
ついでに好みもあるらしく、ヴァンパイアフィンチの犠牲になる鳥はだいたい決まっており、ナスカカツオドリかアオアシカツオドリのいずれかだそう。
Vampire Finch
羽のお手入れの進化版?血を吸われる海鳥はうざがる程度
ところが不思議なことに、その海鳥たちは自分よりずっと小柄なヴァンパイアフィンチにガチで抵抗することはめったにない。
その理由について専門家は、残酷に見えるヴァンパイアフィンチの吸血習慣も、もとは野生の鳥や動物の間でよくある羽づくろいや毛づくろいなどのお手入れ習慣、たとえば大きな鳥の羽や皮膚にいる寄生虫をついばむなどの日常行動から派生したからだろうと述べている。
実際、血を吸われている最中の海鳥にヴァンパイアフィンチを怖がってる様子は無く、ちょっとうざがり追い払う程度だという。
お手入れにしてはやたら痛いしもう来んな!とか思わないのかな?
ナスカカツオドリの血を吸うハシボソガラパゴスフィンチの亜種
“Vampires” and Boobies | National Geographic
寄生虫を食べているうちに血が栄養補助食品に?
ヴァンパイアフィンチの吸血作法は、まず狙った鳥の背後に着地。それからくちばしで皮膚を突き刺して血をいただくというもの。だが彼らがなぜ血を好むようになったのかはよくわかっていない。
現時点では、長らく海鳥の皮膚をガシガシ突っつき寄生虫を食べているうちに、うっかり出た血を栄養補助食品として摂取するようになったというのが定説だ。
鳥類ではきわめてまれな習慣。ダーウィン島とウォルフ島特有の適応か
とはいえ鳥類でこうした吸血習慣がみられるのはきわめてまれで、ダーウィン島とウォルフ島特有の適応とみなされている。
他の鳥の血を栄養にするヴァンパイアフィンチ。その奇妙な食習慣は恐ろしくみえるが、彼らが普段食べているのは種子や昆虫などの無脊椎動物で、吸血は餌が足らないときだけだそう。
生き血で栄養補給とか、ヴァンパイアフィンチにとっては飢えをしのぐための非常手段かもしれないが、絵面的にはくちばしまで血まみれの肉食鳥類のよう。
てか吸われてる鳥も傷が化のうしたり貧血になったりしないのかな?
そのうち「血もいいけど肉もいいね!」「海鳥もいいけど別の動物も…」からの阿鼻叫喚。なんてことにならなきゃいいが、と思ったりするのは私だけかな。
References:odditycentral / wikipedia / wikipediaなど /written by D/ edited by parumo