しかし2020年の『波濤』の誕生をきっかけに、高級鮨店が徐々に増え始めてきた。
しっぽりとした大人の空気を纏った店内で、艶やかな握りと洗練されたつまみを食すのが、神楽坂の鮨の粋。
「神楽坂で高級鮨」は、いまやデートに誘う格好の決め台詞になりつつあるのだ!
1.この店の誕生が、神楽坂の鮨の潮流を「高級」へと導いた
『波濤』
風情ある景観に惚れた神楽坂で、己の鮨を極める
和の名店『神楽坂 石かわ』が鮨店を開く。この知らせは、美食家に衝撃をもたらした。
店を任されたのは熊切大地さん。『神楽坂 石かわ』を筆頭に『虎白』『蓮 三四七(旧店名:蓮)』と和食ひと筋で研鑽を重ねた彼が、鮨の名店『東麻布 天本』でも腕を磨き、開いたのが『波濤』だ。
和食出身の大将が生み出す艶やかな鮨とつまみに脱帽
実際、和食の繊細な仕事が生きたつまみとネタの旨みが際立つ握りの両立は見事。
開店してすぐ街で随一の人気店になり、いまや予約が取れない店へと成長した。さらに、高級鮨を目指して神楽坂へという新しい流れまで作り、デートの需要も生み出した。
熊切さんにとって神楽坂は、「特別」。
理由は「芸妓さんや料亭など、古き良き文化が残る都心では珍しい街だから」で、伝統を守りつつ今に即した変化も厭わない街に共感を覚えると語る。
「素材を生かしながらも、ありそうでなかった新しい握りや料理を追求する。そんな私の挑戦を受け入れてくれる素地がココにはある。また、神楽坂は粋を知るお客様が多い街。僕も日々学ばせていただいております」
神楽坂に魅せられた大将の挑戦に注目だ。
■店舗概要
店名:波濤
住所:新宿区神楽坂5-7
TEL:050-3138-5225(予約専用)
営業時間:ランチ 12:00~
ディナー 17:00~
定休日:日曜、祝日
席数:カウンター8席
2.洗練された空間と心地良いもてなしに、時間を忘れて語り合う
『來経』
正統派の握りを振る舞いながら、心くつろぐ居心地の良さも追求
黒い板張りの壁に暗褐色の引き戸という外観が、実にスタイリッシュ。
高級料亭のような厳格さも漂うが、中に入ると雰囲気は一変。白木の明るい空間に、店主・佐藤佑樹さんの優しい笑顔がある。
「『來経』ってなかなか読めないですよね(笑)」
店名の『來経』とは万葉集にある言葉で「きふ」と読み、来ては去る月日の雄大な流れを表す。
主に銀座で腕をふるい、『銀座 鮨一 銀座本店』では料理長まで務めた彼が、2020年にこの地に店を開いた。
旬の魚に始まり、得意の握りから酒が進むつまみへ。緩急ついた構成で客を魅了
夜は完全予約制だが、営業時間内なら何時でも入店は可能。
提供の利便性を考え一斉スタートを採用する店も多い中、佐藤さんは神楽坂だからこそ、この方式にしたと語る。
「銀座とは違う風情があって落ち着いた雰囲気の街ですから、時間を気にせず楽しんで欲しかった」
だから、「おまかせ」と言いつつ飲みたい人にはつまみ多め、握りをたくさん食べたければ、そちら主体の構成に替える。
臨機応変のサービス精神で、居心地の良さも兼ね備えたいと考えている。
「堅苦しい接客が嫌なんです」
穏やかな笑顔に魅せられて、ふたりで訪れても長居したくなる。
■店舗概要
店名:來経
住所:新宿区若宮町14-7 kif 1F
TEL:03-3268-6033
営業時間:ランチ 12:00~(L.O.13:00)
ディナー 18:00~(L.O.20:30)
定休日:日曜、祝日、年末年始、お盆
席数:カウンター8席
3.伝統と革新が共存する“罪悪感のない鮨”は、驚きに満ちている
『鮨 かぐら』
雑居ビルの4階に潜む洒落た空間に心ときめく
エレベーターを降りると、間接照明で煌めくヒノキのアプローチが現れ、店はその先の扉の向こうに。
中に入ると、一転して落ち着いたカウンターが現れる。
大将の竹次翔平さんは佐賀・武雄出身で、天井の竹は地元の特産品。銀座のホテル、レストラン、鮨店や港区の会員制鮨店で腕をふるった経験もある。
握りもつまみも華麗で独創的。初めて出合う、おいしさが連続する
握りもつまみも美しく、手が込んでいる。『鮨 かぐら』のおまかせコースを食べれば、誰もがそう感じるだろう。
大将の竹次翔平さんが説明する。
「鮨店ひしめく今だから、ほかにないスタイルを追求しました」
その象徴が「ドッグ巻き」と名づけた手巻き。
冒頭でイワシ、中盤にサバ、〆にウニ&キャビアとコース中、3品も振る舞われる。
海苔は地元「佐賀有明海産初摘み海苔」で、1番収穫の海苔にこだわる。しかし一方で、用途により数種類の海苔も使い分けるそう。
竹次さんは老舗やホテルなど、20年近くも和食と鮨の世界で腕を磨いてきた。
その間、著名な料理人を右腕として支えた経験もあり、そこで確かな技術に加え、創意も会得した。
そして、独立するなら大好きな鮨で勝負したいと考え、昨年、神楽坂にこの店を開いた。
そんな竹次さんが「ほかにない」の追求から挑むもうひとつのテーマが「体にいい」。
例えば、甘みを足したい場合は精製された砂糖ではなく、天然由来のアガペシロップを使うなど、先進的な試みにも取り組む。
「神楽坂は客層がよく、大人も多いですから、やりがいがあります」
ほかにないおいしさがある上に、体も喜ぶ。そんな個性は本物を好む、この街にこそふさわしい。
「あん肝カクテル」。
低温調理で滑らかに仕上げたあん肝を、みじん切りのきゅうり、奈良漬と層にして重ね、血液浄化作用が高く、難病(ガン)などの予防にアプローチしたクマ笹エキスも織り混ぜる。
料理はすべておまかせ(20,000円)より、日曜祝日限定ランチ(9,000円)より。
4種の酢をブレンド。シャリも独創的!
独自性の追求はシャリでも。
米は、強い旨みと粒立ちのよさから富山県産コシヒカリを選択。
栄養素豊富な霧島天然水飲むシリカの硬水で焚きあげ、熟成年数の異なる赤酢や米酢のほか、木桶で仕込む黒酢も合わせ、印象深いが食べ疲れない味に仕立てた。
甘みはアガペシロップ、塩は沖縄産の天日干しと、体に優しいも徹底。
■店舗概要
店名:鮨 かぐら
住所:新宿区神楽坂3-2-8 神楽坂三丁目ビル 4F
TEL:03-6228-1606
営業時間:【月~土】17:00〜(最終入店 20:30)
【日・祝】ランチ 12:00〜(最終入店 13:30)
ディナー 17:00〜(最終入店 20:30)
定休日:不定休
席数:カウンター7席、個室1(5席)
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“神楽坂で高級鮨”は、本物のツウだけが知る粋な楽しみ方。
ぜひ一度、大切な人をデートへ誘い出して、特別な大人の鮨体験を味わっていただきたい!
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※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。