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爆弾は誰でも作れる!?このミス&ミステリが読みたい!2冠の作品のとんでもないリアリティを解説

ホンシェルジュ

本好き芸人でnote芸人でもある、赤ノ宮翼さんによるブックセレクトコラム「今月の偏愛本 A面/B面」!B面では「今読んでほしい!」と思う本を、A面よりも自由度高めにおすすめしていただきます。

今月のおすすめは呉勝浩さんによるミステリ小説『爆弾』。「このミス」1位に輝くなど評価をされている本作ですが、その評価抜きにしてもおすすめしたい!……その理由をたっぷり語っていただきました。

『爆弾』を一言でおすすめ

ノンストップ・ミステリーと立ち止まって考えさせられる社会問題が並行する傑作

この本を推す理由

この連載では便宜上A面とB面に分けて本を紹介しているが、今回は特にその境目がなくなっている。

何しろ『爆弾』は2023年版の『このミステリーがすごい!』と『ミステリが読みたい!』でともに国内作品の一位に輝いていて、ミステリファンが認める作品であるうえに、A面でも書いた本屋大賞のノミネート作品でもある。

輝かしい経歴を持つ『爆弾』をA面として紹介しても問題なかったのだけど、とある思いからB面で紹介させてもらう事にした。

主にA面では受賞歴があったり、映像化している作品を紹介していて、B面では個人的な思い入れがある作品を紹介する事が多い。

そして『爆弾』を読んだ時に「とにかく面白いミステリー小説」でありながら、それ以上に現代を生きる人に読んでほしいという強い思いが湧き上がってきた。

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エンタメを描きながら確実に一人一人の心に突き刺さる内容だと思う。

『爆弾』あらすじ

酒屋で酔って暴れて逮捕されたスズキタゴサク、四十九歳。見るからに冴えないその男が秋葉原で起きた爆発を“予言”した。連続爆破事件を示唆する謎の男と警察の頭脳戦が始まる。

魅力①警察を舞台にした群像劇にまとわりつく緊迫感

私が本を読む時は「活字でしか味わえない面白さ」というものを重要視している。

叙述トリックなど絶対に活字でしかできない手法や、細かい風景・人物描写なども活字だからこそたどり着ける物語の深さがあると思っていて、今までの連載の中でもそういう作品をいくつも紹介してきた。

だが『爆弾』を途中まで読んでまず思ったのは「これは映像化しても面白いのだろうな」という事だった。

最初から登場する冴えない男、スズキは一体何者なのか?という興味から始まり、東京を舞台にした連続爆破事件がノンストップで進んでいく。スズキと警察の頭脳バトルが展開されると同時に、いくつもの謎が重なり合ってそれが一つの真実に収束していく物語はとにかくひたすらに面白い。

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