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「下心はないから」と言われ、デート2回目で彼の部屋へ。しかしたった1時間で帰宅した、まさかの理由

東京カレンダー

「下心はないから」と言われ、デート2回目で彼の部屋へ。しかしたった1時間で帰宅した、まさかの理由

高いステータスを持つ者の代名詞の1つともいえる、都内の高級タワーマンション。

港区エリアを中心とした都心には、今もなお数々の“超高級タワマン”が建設され続けているが…。

では果たして、どんな人たちがその部屋に住んでいるのだろうか?

婚活中のOL・美月(28)と、バリキャリライフを楽しむアリス(28)。2人が見た“東京タワマン族”のリアルとは…?

▶前回:慶應卒・外銀勤務の28歳女。「自分の人生、完璧だ!」と思っていたけれど、意外な落とし穴が…



美月「憧れのタワマンのはずだけど…」


「美月さん、今日も何か予定があるんですか?」

会社を出ようとすると、後輩の真凜ちゃんから声を掛けられた。

「ふふ、今日はデートなんだよね♡」
「いいな〜。今夜のお相手は誰なんですか?」
「この前マッチングアプリで知り合った、外資系の保険会社で働いてる人」

今夜は、先日知り合った康平さんと二度目のデートだった。前回は日曜のお昼に会ったので、実は夜デートは初めて。だけど私は、結構期待していた。

ガッチリとした体型の康平さんは男らしくて、私の好きな感じだったから。

― 楽しみだな♡

そう思いながら、約束の店へと向かう。でもこの夜、色々と思うことがあったのだ…。


Case6:芝浦タワマン男の誤算


「美月ちゃん、お腹空いてる?」

康平さんが予約してくれていたのは、恵比寿にあるカジュアルなビストロだった。

隣のテーブルでは20代前半と思われるスーツ姿の男の子と、私より年下っぽい女の子がデートをしている。全体的に若い人が多いお店で、想像していた雰囲気とは少し違う感じだった。

「どれくらい食べられる?何か食べたいもの、ある?」
「康平さんが食べたいもの優先で大丈夫ですよ!」

ビールで乾杯しながら、ニコニコしている彼を観察してみる。

「お仕事、お忙しいんですか?」
「そうだね〜、おかげさまで。僕たちって、ある意味個人事業主みたいな感じだから…」

そう話しながら、運ばれてきた料理を慣れた手つきで取り分けてくれる康平さん。

いい人であることに間違いはない。でもなぜか男らしさを感じないし、ドキドキもしなかった。



「美月ちゃんは普段、どのあたりでご飯食べることが多いの?」
「恵比寿とか、中目黒とか…。あとは西麻布も多いです。康平さんは?」
「僕も、そのへんが多いかな」
「そういえば、今ってどちらに住まれてるんですか?」

私としては、住んでいるエリアを聞いたつもりだった。

「僕は芝浦にあるタワマンで…」

しかし康平さんは、わざわざマンション名を教えてくれたのだ。

しかも彼の口から出てきたのは、芝浦にあるタワマンの代名詞と言っても過言ではないほど、有名なマンションだった。



「わ、いいところにお住まいなんですね…!」
「タワマン内に、同じ歳の独身男たちも多くて。頻繁にマンション内でホムパしてるんだよ。棟が違うメンバーもいるんだけど、結構みんな仲良くてさ」
「楽しそう~」
「みんなそれなりに稼いでいる人たちが多いから、楽しいよ。今度美月ちゃんもおいでよ!」

タワマンに住む独身男性が集まるホムパなんて、楽しいに決まっている。私は「お呼ばれしたときにはアリスを誘おう」なんて1人で考えていた。

しかし、事態は意外な方へと動き始めたのだ。

「よければ、この後ウチ来る?全然下心とかはないんだけどさ。家に結構いいウイスキーがあって」
「家ですか…」

今日で会うのは2回目の康平さん。いつもだったら、絶対に行かないけれど…。

なぜか彼だったら、仮に今夜このまま部屋へ遊びに行っても、本当に何も起こらない気がした。

「いいですね。じゃあ行きましょうか」

こうして私たちはタクシーに乗って、タワマンが乱立している芝浦エリアへと向かった。


タクシーが、あるタワマンの前で止まる。綺麗に整備された公園に、スーパー。見上げると部屋の明かりが無数についていて、このエリアだけ小さな村のように見えた。

「ここなんだけどさ…」

まるでお城のようなエントランスに、思わずテンションが上がってしまう。広いエントランスホールに入り、エスカレーターで2階へと上がった。

そこから、住居に繋がるエレベーターへと乗り換える。タワマンならではの凛とした空気を、私は思いっきり感じていた。

― 沿岸エリアだし、部屋からはレインボーブリッジが綺麗に見えそうだなあ。

そんなことを勝手に想像しながら、エレベーターへと乗り込む。しかし康平さんが押した階数ボタンを見て、私は思わず「あっ…」と言いそうになってしまった。

タワマン住まいだと聞いて、勝手に高層階を想像していたのだが…。彼が押したのは、9階のボタンだったのだ。



それだけではない。部屋へ入ってドアを開けた瞬間に、私はさらに驚いてしまった。

たしかにタワマンらしくはあるのだけれど、康平さんの部屋は想像していたよりずっと狭かったから。

ワンルームで、たぶん40平米くらいだろう。そしてベランダから見えるのは、東京の夜景を独り占めしたような絶景。…ではなく、向かい側の別のタワマン。

もう、どう反応すればいいのかわからなかった。

「狭くてごめんね」
「いえいえ…!むしろ、お邪魔します」

奥のソファに座りながら、思わずキョロキョロとしてしまう。私がこれまで見てきたタワマンは、相当ハイクラスな部屋だったらしい。

「タワマン、いいよね」

無邪気に微笑む康平さんからグラスを受け取り、私は曖昧な笑みを浮かべることしかできない。

「そ、そうですよね。タワマン素敵ですよね」
「やっぱり東京における成功の証って、タワマンだと思うんだよ。ちなみにここ、いくつか部屋のタイプがあってさ。この部屋はかなり安いんだけど、友達の部屋はもっと豪華で」



タワマンといえども、千差万別だ。

想像を絶するほど豪華で、本物の富裕層のみが住める手の届かない“天空の城”がある。その一方で、カジュアルに住めるタワマンもある。

言い方は悪いけれど、この部屋くらいだったら今の私でも住める気がしてきた。

「俺さ、もっと稼いでここより上層階に引っ越したいなと思ってて。それが今の目標かな」

目を輝かせながら話している康平さんが、むしろ段々と可愛く見えてきた。

「いいですね。タワマンの中でも高層階に住むって、やっぱり憧れますよね」
「そうそう!いい家に住むって大事だよね、モチベーションにもなるし」

いい人であることに、間違いはない。

でも、何かが違う。

そう思った私はハイボールを1杯だけいただき、1時間で早々に退散したのだった。


▶前回:慶應卒・外銀勤務の28歳女。「自分の人生、完璧だ!」と思っていたけれど、意外な落とし穴が…

▶1話目はこちら:気になる彼の家で、キッチンを使おうとして…。お呼ばれした女がとった、NG行動とは

▶NEXT:3月6日 月曜更新予定
寂しい“バツイチおじさん”が住むタワマンは…


 
   

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