「イベントの制作には部品の製造とはまったく違ったノウハウが必要。渥美ゼミなら都市ブランディングの一環として、パネルなどの制作にも慣れているはずです。さらにはイベント参加者の動線や居場所の選定も、渥美ゼミならこなせるはず。パッと見では分かりませんが、実際は渥美ゼミの協力なくして、このイベントは成立しなかったのではないでしょうか」(前出・週刊誌記者)
一般参加者を対象としたイベントは通常、専門の制作会社に発注するもの。大企業なら宣伝部などが担当するケースもあるが、町工場には宣伝広報の専門スタッフがいるはずもなく、今回の町工場フェスタでも営業担当の舞が音頭を取っていた。それゆえ渥美ゼミの果たした役割は相当に大きかったはずだ。
一方で渥美ゼミとしては、東大阪市という町工場の街が地元住民との相互理解を進めることで、「工場と住民が同居する街」という都市ブランディングを実践することができる。これは学生にとって貴重なフィールドワークになることは確実だろう。
表面上は、ヒロイン舞の発案を周りが助けたという安易な成功譚にも見えかねない「東大阪町工場フェスタ」。だがその裏には渥美と舞の先輩後輩関係や、街と大学の協業など、様々なテーマが隠されていたのではないだろうか。