◆初となる福島同士の決勝。帝京安積vs福島東陵
2月4日から5日にわたり、第33回東北高等学校男女新人バスケットボール選手権大会が福島市にて行われた。実に3年ぶりの開催となった。
「東北地方は試合経験が少ない」とは、ここ数年、東北地方のチームを取材するたびに聞いてきた言葉だ。パンデミックの影響により、東北は昨夏のブロック大会と今冬の新人ブロック大会の開催が(九州を除き)他ブロックより1年遅れての再開となっている。そんななかで、3年ぶりとなった東北新人の開催に喜ぶ声があちこちから聞こえてくるなかで大会が行われた
今大会はメンバー編成が大きく変わるチームがあるなかで、昨年度から主力選手がそろい、抜群のコンビネーションを見せるチームがあった。それが東北新人に初出場で初優勝を果たした帝京安積高校(福島1位)だ。
チームを率いるのは赴任6年目の水野優斗コーチ。父は現在福島商業高校を指導し、福島南高校時代には2016年にインターハイでベスト4へと導いた水野慎也コーチ。長女の妃奈乃はシャンソン化粧品、次男の幹太は京都ハンナリーズで活動するバスケ一家。「僕も妹と弟に負けずに頑張りたいし、指導者として常に父の背中を追ってきました」と語る28歳の若きコーチだ。
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帝京安積は準決勝の仙台大学附属明成高校(宮城1位)戦に勝負をかけた。運動量の多いローテーションディフェンスでかく乱し、オフェンスではパス&ランのコンビネーションプレーに加え、3ポイントを11本決めて87-75で勝利。出足こそ後手を踏んですぐにタイムアウトを請求したが、その後はこの試合で42得点を決めたエースの菅野陸を軸に追い上げ、第2クォーターのスコアを27-16として引き離した。後半は明成が猛追して差を縮めるが、帝京安積は追いつかれた直後にはランニングプレーで逆転を許さず、87-75で勝利。水野コーチが「できすぎなくらいシュートが入った」と評価するほど、要所でのシュートが落ちない試合だった。
決勝は準決勝で明成を破った帝京安積と、羽黒高校(山形1位)を下した福島東稜高校(福島2位)が対戦。東北新人では初の福島決戦となった。
福島県の新人大会の決勝リーグにおいて、帝京安積、福島東稜、福島南が2勝1敗の三つ巴となり、得失点差で帝京安積が1位の座をつかんでいる。しかし、県新人で帝京安積は福島東稜に敗れていることから雪辱戦となり、明成に勝利した勢いをそのままに、最後まで走り切って106-77で完勝。初の東北新人大会を制覇した。
帝京安積は東北で急浮上したチームではあるが、ここ数年で強化を図っており、その積み重ねが実った結果だった。主力の2年生は1年次から試合経験ある選手が多く、コンビネーションプレーの熟成度において、現時点では東北で頭一つ抜けていた。チーム最高身長は186センチだが、ローテーションして守り抜くディフェンス力が光る。ゲームキャプテンでエースの菅野陸は「チームメートが何をするかわかっていて、呼吸が合っていることが僕たちの強み」と語り、東北初制覇に自信をつかんでいた。
注目の1年生留学生アデバヨ オニロルワジョセフ(203センチ)と機動力あるガード陣を擁する福島東稜は、福島高校時代にインターハイとウインターカップ出場へと導いた渡部浩一コーチが昨年11月の新人戦時よりチームを率いている。1年生でコートに立つ選手も多く、発展途上ながらポテンシャルのあるチームだ。今後は高さと速さを融合させることが課題となる。
◆今後の成長に期待したい明成と羽黒