
ケーブルチャンネルtvNで2020年~2021年にかけて放送された『昼と夜』がNetflixのランキングTOP10に突如現れ、現在も上位にランクインしている(※2月7日現在)。韓国でも1月20日に配信されてから約1週間で1位を記録(※)。最新作ではない作品が上位をキープしていることで再び注目されているドラマだ。
物語は世間を騒がせている連続予告殺人事件から始まる。犯人は不可解な暗号が書かれた殺人予告をXVN放送局の記者イ・ジウク(ユン・ギョンホ)に届けて騒ぎを大きくさせる悪質なパフォーマンスを繰り返しており、ソウル地方警察庁の特殊チームがこの事件を追っていたが捜査は難航していた。この特殊チームを率いるチーム長が主人公のト・ジョンウ(ナムグン・ミン)だ。事件を解決に導くため、アメリカから派遣された元FBIで犯罪心理研修所の所長であるジェイミー・レイトン(イ・チョンア)を迎えたことからストーリーが動き出す。事件を追う中で浮上してきたのは、28年前に起きた大規模な火災と謎の集団死亡によって消滅した白夜村の事件。そして、ジェイミーは犯人にしか知りえない情報を持つジョンウに疑いの目を向けるようになる。
警察大学校出身のエリートで司法試験にも合格する頭脳の持ち主、高階級の“警正”と呼ばれる役職に就くジョンウだが、その姿はスペックのイメージとはかけ離れたもの。みすぼらしい格好に不精髭、方向音痴でいつも棒キャンディを舐めている。それと毎日留置所で寝泊りしている変わり者だ。白夜村の事件に関心を寄せているようだが、もちろん心の内や怪しげな行動の意図は簡単には読めない。
ト・ジョンウに扮するナムグン・ミンは、常に善と悪の境界線にいるキャラクターを好演し、最後まで視聴者を惑わせる。彼が出演するドラマは高視聴率を記録し注目度を集めることから「ナムグン・ミン主演ドラマはハズレがない」と言われるほど、期待と信頼の高い俳優でもある。人生ドラマとも謳われた『ストーブリーグ』(2019年~2020年)でも主演を務め、最高視聴率19.1%のヒットを叩き出し、第56回百想芸術大賞(2020年)では作品賞を受賞、同年にSBS演技大賞を受賞した。直近で放送・配信された『わずか1000ウォンの弁護士』(2022年)も人気ドラマとして話題を呼び、波に乗っているナムグン・ミン。『リメンバー~記憶の彼方へ~』(2015年~2016年)の悪役や『ドクター・プリズナー』(2019年)でのダークヒーロー役、『恋のトリセツ~フンナムとジョンウムの恋愛日誌~』(2018年)では“恋愛の神様”と呼ばれるスウィートなモテ男など、多彩な役柄を演じてきた表現力の深さが評価されている実力者だ。本作ではカッコよくはないけれどなぜか引きつけられていく新しいキャラクターに挑戦し、作品を牽引している。
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特殊チームには、ガールズグループAOAのメンバーで女優としても活躍中のキム・ソリョンや『愛の不時着』のイ・シニョンが若手刑事として奮闘。脇を固めるキャストは、ソウル地方警察庁の情報管理部長に『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のペク・ジウォン、記者のイ・ジウクは『梨泰院クラス』のユン・ギョンホ、研究者役には『星から来たあなた』のキム・チャンワンなど、多くの作品で善い人間と悪い人間の両方を演じてきたベテラン俳優陣が、今回はどちらの顔を見せるのかにも着目するとより楽しめるだろう。
連続予告殺人事件が行き詰まっている理由は、全員が自殺をしているからだ。しかも第1話ではジョンウらの目の前で殺人予告された人物が自殺をする様子を見せつけられる。そして繰り返し聞かれる「今は昼なのか、夜なのかーー」という台詞や、白夜村の事件の回想シーンに登場する子供たちの胸に書かれた数字は何を意味するのか。ジェイミーはジョンウを疑いながらもどこかで会ったことがある感覚があり、コンビニで出会ったムン・ジェウン(ユン・ソヌ)という青年のことも気がかりだ。また、恐ろしい光景や幼少期の断片的な記憶がフラッシュバックして苦しめられている。現在起きている事件と28年前の事件が絡みあっていく本格ミステリードラマはのめり込むまでに時間がかかるが、中盤あたりから話の流れが一気に変わり加速していく。徐々に明らかにされる真実は耐え難く、決して軽い気持ちで観られるドラマではないが、ト・ジョンウがこれまで歩んできた道やこれからの過程と選択を最後まで見届けてほしい。
参照
※ https://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2210687
(ヨシン)