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【スペシャル対談】地方創生「ワインで一点突破!」 ワイン産地・余市のポテンシャル

ワイン王国

矢田部 最近、ソムリエ仲間でワインを持ち寄って飲んだ時、フィールドブレンド(*1)のワインが多かったんです。単一の品種で醸造するよりもテロワールが表現できるとして注目されている手法です。北海道はフィールドブレンドを積極的に取り入れていますよね。

ひぐち フィールドブレンドを採用し日本の造り手に影響を与えたのが、空知エリアの岩見沢市にある「ナカザワヴィンヤード」です。余市・仁木エリアでも余市町の「モンガク谷ワイナリー」や仁木町の「ル・レーヴ・ワイナリー」など、フィールドブレンドのワインを手掛ける生産者は増えています。

矢田部 ボルドー地方などのアサンブラージュ(ブレンド)とは異なり、品種にフォーカスするのではなく、土地や造り手の個性を表現できる。フィールドブレンドは、余市ワインの魅力の一つだと思います。

ひぐち 複数品種の混醸なので合わせる料理の幅も広そうです。僕は、余市のワインの良さは酸味にあると思います。同じ北海道でも空知エリアのワインには「硬質な酸」を感じるのですが、余市のワインは「柔らかい酸」で、さらに旨味もあります。あと、不思議と白ワインにはリンゴのニュアンスを感じるんですよね。これは余市町が北海道一のリンゴの産地だからでしょうね。

矢田部 そうかもしれませんね。

ワイン資格を持つ「地域おこし協力隊」
さらなるブランド力のアップに期待

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ひぐち 笑い話ですが、かつて余市町では、ウイスキーのようにワインを飲食店でボトルキープしようとする人がいたのだそうです。それほどワインに対して知識も経験もなかった。でも、この15年でワイナリーの数が急激に増えて、 21年からは国の「地域おこし協力隊」(*2)制度を利用し、英国の「ザ・コート・オブ・マスター・ソムリエ」認定の日本唯一のマスター・ソムリエや、「JSA」認定ソムリエ、ワインエキスパートが移住し、ワイン産業振興にかかわっています。量質ともに「ワインの町」となってきたことで、町民の意識も変わるのかもしれません。僕も余市町内で「大使!」と呼びかけられたりしています。(笑)

矢田部 「余市ブランド」の力は十分に感じます。品種の面からは、シャルドネやピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランなどヨーロッパ系の品種に期待しています。北海道でのワイン用ブドウ栽培の黎明期には、ケルナーやバッカス、ツヴァイゲルトレーベなど冷涼気候に適した品種が育てやすかったでしょうが、今は栽培技術のレベルが上がっています。それに、ソムリエの目線から言うとヨーロッパ系品種のほうがお客さまにお勧めしやすく、販売のチャンスが多いと思います。

ひぐち 「余市町に行きたいけれど、どこに行けばいいかわからない」という声をよく聞きます。家族経営のワイナリーが多く、見学できるところはまだ少ないですからね。いつか余市ワイナリーツアーを企画してみたいなぁ。

矢田部 山梨県甲州市の「勝沼ぶどうの丘」のように地元のワインに触れられて、ワインの町の雰囲気を味わえる場所があればいいですね。余市町が若くて熱意ある人材を集めて、さらにエンターテインメント性とブランド力が高まっていくことを期待しています。

*1 同じ畑に植えた異なる品種のブドウを同時期に収穫し、一つの発酵容器の中で醸造(混醸)する方法
*2 都市から過疎地域などに住民票を異動し、地域おこしにかかわる「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る国の取り組み

text by Tomoko HOMMA(余市町地域おこし協力隊)
photographs by Hiromichi KATAOKA

余市町では、各産業で町おこしに携わる「地域おこし協力隊」を募集しています。詳細はこちらをご覧ください。
https://www.town.yoichi.hokkaido.jp/chousei/saiyou/kyouryokutai.html

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