
毎年、年初は株価の先行きについてのコメントが多く出されます。米国の長期金利の低下に伴い、内外金利差を要因とした円安は解消される方向にあり、また世界的な景気悪化を先取りした株価下落への不安の声もあります。そこで株式投資の収益性に理論的な面から検討します。
「金の卵を産むニワトリ」、もし値段をつけるなら…
どのような金融商品・金融資産の価格も、その決まり方は理論的に同じであると考えられます。つまり、金融資産の価格は、その資産を持つことによって将来得ることができるだろうと思われる収益を、いまの価格に換算したものが基本になるということです。
たとえば、卵を産むニワトリの価格は、そのニワトリが将来どれだけいい卵を産むかで決まるのと同じということです。いい卵をたくさん産むと思われるニワトリの値段は高く、そうは思われないニワトリの値段は安いわけです。こうして株式の場合は将来の配当を生み出す元となるものが、現在の株価だと考えるわけです。
株式投資の収益性を表す「割引率」とは?
将来の収益を現在の価格に換算する数値を「割引率」と呼びます。一般的に金融商品の割引率は「無リスク金利(リスクを取らない場合の利回り)」と「リスク・プレミアム(リスクをとる不確実性への報酬)」から構成されています。
割引率は、投資家が株式などの特定の金融商品に投資することにより期待できる収益率である「期待収益率(予想収益率の平均値)」と同じとなりますので、この割引率が株式投資の収益性となります※1。
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※1 専門的には、将来価値を現在価値に換算するときに使う利率を割引率といい、現在価値から将来価値を求めるときの利率は期待収益率といういい方をします。
そこで、株価を将来の配当金と割引率で表すと次の式になります。
株価 = 配当金 ÷ 割引率
株価に関するこの考え方は、「配当割引モデル」と呼ばれるものですが、将来の配当金が同じ金額が続くと仮定した場合の手法です。この考え方は不動産価格の決定についても用いられ、その場の割引率は、「還元利回り」と呼ばれます。
不動産の場合は次の式になります。
不動産価格 = 1年間の利益 ÷ 還元利回り