6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱

死後、幽霊となって星太郎の前に現れる父(星太郎には姿が見える)と、ひょんなことから星太郎の自宅兼花火屋に住み込みで働くこととなったヒロイン・ひかり(本田翼)。そして3人の、奇妙な交流がはじまったのです。
彼らのテンポの好い会話の応酬に“しっとり”癒される作品。昨今のドラマですっかりドタバタキャラのイメージだった本田も、本作では別の顔を見せ馴染んでいます。何より、実力派俳優の高橋と大御所俳優の橋爪が魅せる、独特の佇まいと演技の応酬はたまりません!
インフォーマ

『新聞記者』や『アバランチ』『余命10年』などの代表作をもつ藤井道人が監督を務めるだけあって、想像以上の高い完成度で魅せてくれます。
今夜すきやきだよ
ともこの手料理をあいこが食べるシーンが多く、テレ東お得意の“飯テロ”っぷりは健在。ですが、見どころは料理だけではありません。「女は、料理や家事ができるのが当たり前」「運命の人に出逢えば、絶対に恋をする」など、押しつけられるとモヤっとする価値観。そんな“こうあるべき”の壁を、彼女たちがゆっくり少しずつ乗り越えていきます。
描かれているのは、互いを認め、肯定していく等身大の姿。そして、そんな日常にある美味しい料理。それこそが、疲れきった金曜夜の私たちに“癒やし”をくれるのです。
夫を社会的に抹殺する5つの方法
見どころは、とにかく大輔のクズっぷり!妻への暴言は日常茶飯事で、時に暴力までふるい、外では浮気、職場ではパワハラ。もう誰が見てもクズ(笑)という野村周平の演技がハマり過ぎて、うっかり彼を嫌いになりそうなほどです。
そして夫に従順なフリを続けながら、影で社会的制裁を加えていく馬場ふみかもいい感じ!第2話では浮気相手の前で大恥をかかせ、第3話ではパワハラの内部告発で会社を辞めさせます。直近の第4話では、大輔が学生時代に友人をイジメていた証拠映像をネットに公開!復讐が止まりません。クズ夫×復讐妻、そして妻を影で操る謎の人物。深夜ドラマらしいドロドロした愛憎劇から目が離せません。
リエゾン-こどものこころ診療所-

一人ひとり症状が異なり、抱えている問題も多岐にわたる、発達障害という難しい題材。それを扱う本作にもすでにさまざまな意見が寄せられていますが、作り手の“優しい”熱量を感じているのは筆者だけではないはずです。何より俳優陣が子役を含め、懸命に役作りをし、丁寧に演じているのがよく分かります。
現実の苦しさや不自由さだけでなく、発達障害を抱えた子どもたちの可能性も描き、互いを認め支え合える希望も感じられる作品です。
今期のドラマは「観るのが追いつかない」ほど豊作
<文/鈴木まこと(tricle.llc)>
【鈴木まこと】
tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201