またゲーム本編だけでなく、『FGO』を原作としたアニメやコミカライズなど、様々なメディアに展開しており、それぞれの作品をファンが支持。いずれも、多くの関心が寄せられるコンテンツへと成長しました。
その中でも、独特の空気感とテンポの良さでたびたび話題となるのが、Webサイト「TYPE-MOONコミックエース」で連載中の漫画「Fate/Grand Order 藤丸立香はわからない」です。本作は、主人公・藤丸立香を中心に、『FGO』の設定を活かしつつ、ゆるふわな世界観と予想外の展開で読者を楽しませるギャグマンガ。その色濃い個性で、『FGO』コンテンツの中でもパワフルな存在を放っています。
そんな「藤丸立香はわからない」が、昨年末に行われた配信番組の中で、予告なしでアニメ版を公開。ショートショートながら一気に3本の話を披露目し、大きな話題となります。特に3話目は、BOXイベントなどでプレイヤーが実際に行う「黄金の果実を集中的に食べまくる」という状況をユニークな形で取り入れ、プレイヤーたちに衝撃を与えました。
この時、「藤丸立香はわからない」のアニメ展開を2023年に行うと予告しましたが、2月4日に開催されたリアルイベントの中で、今回もサプライズで新作アニメを一挙に2話公開。前回と同じく、原作の『FGO』をモチーフとしたネタが随所に散りばめられた、見事な作品に仕上がっていました。
■マスターの睡眠が、意外な悲劇を引き起こしていた!?
第1話「急な眠気の理由は…」では、主人公の藤丸が行き倒れている場面からスタート。この異変にクー・フーリンとマシュが慌てるものの、当の藤丸はただ眠っているだけ。緊張感とは無援の、「藤丸立香はわからない」らしい幕開けを迎えます。
“主人公が眠る”のは『FGO』本編で度々起きる症状で、単なるうっかりではありません。夢を介して現実以上に危険な目に遭ったり、現実では知り得ない世界に触れることもあり、『FGO』内では重要なチャンネルのひとつとして描かれています。
しかし、主人公が寝ることで、周囲に影響が及ぶというのも至極当然の話。その切り口を描いたこの話では、藤丸が戦闘中に眠ってしまったおかげで、マシュとクー・フーリンが悲劇に見舞われます。
というのも、『FGO』は主人公(プレイヤー」が指示を下すコマンドバトル。コマンドを入力しないと、サーヴァントたちは行動に移れません。これはゲームとしての『FGO』の仕様ですが、この世界にもしっかりと反映されており、ふたりは行動に移れなくなりました。その理不尽さに、クー・フーリンが「なんでそこはメタなんだよ」と嘆きますが、ツッコんでしまう気持ちは十分理解できます。
ちなみに、サーヴァントが行動しなければターンが回らず、必然的に敵も動けません。藤丸の睡眠が、どちらの陣営にも多大な被害をもたらしたまま、時間だけが空しく過ぎていき……。
■眼鏡が絡むと消えゆく知性……『FGO』の業は「藤丸立香はわからない」にも及ぶ!
続く第2話は、数字の3を逆にしたような、いわゆる「のび太な目」をしたシグルドが藤丸に連れられて登場。『FGO』のシグルドは「叡智の結晶」である眼鏡を着用しており、作中でも知的な判断を見せる場面がいくつもありました。
しかし、この眼鏡がふとした事故(藤丸が興じていたバドミントンのシャトルが激突)で破損し、代替として別の眼鏡を求めてダ・ヴィンチちゃんの元を訪れます。
『FGO』と眼鏡は意外と関連性が深く、期間限定のイベントシナリオではたびたびネタになることも。特に、昨年のホワイトデーイベント「15人の理知的なメガネたち」では、登場サーヴァントたちが悉く眼鏡をかけ、一見知的な見た目でドタバタと問題に対処しました。
加えてそのイベントでは、登場サーヴァント分の眼鏡霊衣を同時に実装するという、一部ファンが歓喜する展開も行うなど、ネタに全力投球する『FGO』らしさを炸裂。色々な意味で、今もプレイヤーの記憶に色濃く残るイベントのひとつとなりました。
そんな本編を踏まえてか否か、眼鏡に関する相談を藤丸から受けたダ・ヴィンチちゃんは「自力で再生できないの?」と質問しますが、その試みはすでにトライした事実を藤丸が告げます。ですが、藤丸曰く「叡智を失ってちょっとアホになっているみたいで……」と明かし、パーティグッズレベルの失敗作たちを披露します。叡智が欠けたシグルドなので、仕方のない話なのでしょう。
しかも、失敗した「面白眼鏡」をシグルドはなぜか気に入っており、「これの着用により、当方の面白さはうなぎのぼりひつまぶし」「宴会芸を披露した暁には、笑いのベルヴェルク、こんなにウケてええんかい」とノリノリで発言。シグルドのヒドい有様は、この台詞だけでも十分に伝わることと思います。
知性の象徴であるはずの眼鏡ですが、『FGO』で取り扱われるたびに、なぜかポンコツ風味な空気が漂うこのアイテム。叡智の結晶って、一体……。
叡智の結晶を失ってポンコツなシグルドも、これはこれで面白いのですが、そのままにしておくわけにはいきません。「眼鏡がステータスに影響するなら、適当に頭いい人のを借りてきなよ」とダ・ヴィンチちゃんが進言します。
その発言を受けて藤丸が借りてきたのは、なんとジェームズ・モリアーティの眼鏡。そしてシグルドが装備した途端、なんと「悪特性付与」の効果が発揮してしまいます。ちなみに悪特性の付与は、モリアーティのスキル(アーチャー)や宝具効果(ルーラー)で得られる効果。ですが、まさか眼鏡をかけただけで付与されるとは……モリアーティ、恐るべし。
藤丸がうっかり眼鏡を壊したことで、悪特性を得たシグルド。この窮地を、どのように脱するのか……。
イベントを通して公開された「藤丸立香はわからない」の新アニメは、いずれも年末に公開された第1弾と同じく、コミカルでテンポがよく、漫画版の雰囲気を忠実に再現した良作な作りでした。
そのため、会場にいた来場者や、配信越しの視聴者からの反応も上々。その結末まで含め、今回も見事なアニメ化でした。
リアルタイムで見れなかったとしても、残念がる必要はありません。Youtubeの「Fate/Grand Order チャンネル」にて、1話、2話ともに公開中です。今回紹介しなかったオチが気になる人も、そちらで直接ご覧ください。
しかも、アニメ版「藤丸立香はわからない」は、前述のチャンネルと公式Twitterにて、2月7日より毎週火曜日に配信決定。毎回2分前後のエピソードがお披露目されるとのこと。これからは、アニメの「藤丸立香はわからない」を毎週楽しめるようになるので、どうぞお楽しみに!
(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT