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生田斗真が俳優の道を進んだ理由

シネマトゥデイ

生田斗真 – 写真:島田香

 企画のプロ・小山薫堂が2015年より提唱する「入浴」にまつわる新たな「道」を映画化した『湯道』(2月23日公開)で、銭湯を営む実家に舞い戻ってくる主人公を演じた生田斗真。昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では鎌倉時代の貴族、御家人・源仲章のヒールぶりで反響を呼んだ彼が、本作ではカッコつけていても実は仕事がうまくいってない等身大の建築家を演じている。そんな生田が入浴時のこだわりから兄弟観、自身が掲げる俳優としてのポリシー=俳優道までを語った。

 米アカデミー賞外国語映画賞(※現・国際長編映画賞)受賞作『おくりびと』(2008)の脚本、「くまモン」の生みの親としても知られる小山薫堂が、日本の文化でもある「風呂」や「温泉」に入るときの姿勢や精神を突き詰めた「湯道」がベースの本作。生田が演じた三浦史朗は、都会での仕事が行き詰まり、父親が遺した銭湯「まるきん温泉」をマンションに建て替えることで窮地を逃れようと目論んでいる男。映画は古き良きものを簡単に手放そうとする彼を通してお金に代えられない大切なことを伝える内容になっているが、生田も「小山さんが仰っていたことでもあるんですけど、この映画で忘れていた日常の幸せや喜びに気づいてもらえたら嬉しいですね」と強調する。

お風呂は気持ちをリセットできる癒やしの場

『湯道』より生田斗真演じる主人公・三浦史朗 (C) 2023映画「湯道」製作委員会

 「自宅のお風呂でもそうですけど、湯船に浸かって『ふ~』とため息をつくだけでその日にあった嫌なことがリセットされて、明日からまた頑張ろう! って気持ちになれる。僕も、どんなに撮影で帰りが遅くなっても必ずお風呂に入るんですよ。『あ~』って吐き出して、“今日も頑張ったな”と思うだけで、“よし、明日もやるぞ!”という思考に切り替わりますから。そういう意味でも、お風呂や銭湯、温泉は、古くから日本人を支えていた“癒やし”の場なんだと思います」

 本作では脚本も担当した小山が提唱する、湯に浸かる際のさまざまな様式やルールが登場するが、生田自身は「ルールというか、僕は休みの日の朝に入るのが好きですね。すごく贅沢な時間を過ごしているな~という気持ちになれる」と幸せそうな笑みを浮かべる。さらに「実は、昔は湯船に浸かるのがあまり好きじゃなくて、シャワーだけでいいかなと思っていたんですけど、今は考えごともできるし、あの空間で湯船に一人で静か~に浸かっている時間が好きかもしれない」と告白。「だから本当はバスルームではなるべく何もしたくないんですけど、最近は台本を読むこともあります。『湯道』の台本も確か読んでいたと思いますね」と笑いを誘う。

兄弟からの一言って、一番こたえる

『湯道』より史朗(生田・右)と弟の悟朗(濱田岳) (C) 2023映画「湯道」製作委員会

 劇中では実家の古い銭湯を売ってしまおう考える史朗と、地元の人たちに愛されている銭湯を切り盛りしている弟・悟朗(濱田岳)との確執や対立も描かれるが、「弟に苦言を呈されるのって、兄としてはすっごい嫌なんですよ」と自身も男兄弟の兄の立場にある生田は本音を吐露。「『兄貴、そういうのやめたら』とか『よくないよ』って言われるのがすごく嫌!(笑)“そんなのわかってるよ!”って感情的にもなったりするんだけど、実はそれがすごく刺さる。どんな人から言われるよりも、弟から言われる一言が残りますね。そんな兄弟の関係も『湯道』の脚本には書かれていたので、そのときの史朗の気持ちはすごく分かるな~と思いました」

マンションに建て替えか、存続か、揺れる銭湯「まるきん温泉」のセット (C) 2023映画「湯道」製作委員会

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 古くからの伝統や文化を継承していく。そんなメッセージが込められている本作だが、生田も「僕自身、古いものや昔からのものが好きなので、いいものは残っていって欲しい」と訴える。「なくなりつつあるもので言うと、個人的にはレコードやカセットテープが好きで。家で音楽を聴くときは大体どっちかをかけるんですけど、なんか楽しいんですよね。今はスマホを使えば一発で洋楽だろうが邦楽だろうが大抵の曲は出てくるけれど、レコードを袋から出して、拭いて、針を落としてっていう、あの手間のかかる作業が好きです(笑)」

芝居の魅力に目覚めたきっかけ

 歌やダンスでオーディエンスを魅了するアーティストが多数所属するジャニーズ事務所で、俳優の仕事をメインに活動し、キャリアを積み上げてきた生田斗真。芸能界入りした理由をあらためて尋ねると、「そもそもこの世界に入ったのも何となくだったんですけど、いろいろなことに挑戦していくうちにお芝居に出会って、そこで自分が表現するもので人を幸せにしたい、そうやって生きていきたいなと思ったのが今に至るきっかけですね」と述懐する。

 近年は歌を披露する場もあったが、なぜ芝居を選んだのか……? 「幼少期から人の前に立ったり、踊って見せることが好きで。今思えば、お芝居ごっこや刀を振り回すのも好きだったから、なるべくして俳優になったのかな~という気もするけれど、NHKの朝ドラ「あぐり」(1997)で初めてお芝居をしたときの喜びが大きかったかもしれない。それまで台本を読んだこともなかったですし、お芝居をするのも初めてだったんですけど、褒められたんです。それで嬉しくなっちゃって(笑)。そのときの褒められちゃった、嬉しいな~という感覚の延長線上で、今もやらせていただいているところがありますね」

 そんな生田に「演じる上で大切にしていることは?」と尋ねると、次のような言葉が返ってきた。

 「昔ある先輩に、『お客さんを喜ばせることと、お客さんに媚びを売ることは違う』ということを教わって。その言葉が、今でも自分が役を演じるときの根本にあるかもしれないです」(取材・文:イソガイマサト)

ヘアメイク:豊福浩一(Good)/スタイリスト:前田勇弥

 
   

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