彼はまだプレミア1年目だが、このリーグでプレーする日本人選手として最も成功する可能性を秘めている。現在はブライトンでプレーしているため、リバプールでプレーしたミナミノ(南野拓実)のようにトロフィーを獲得するという点ではなく、単純にパフォーマンスという観点からだ。
過去数シーズン、ブライトンは多くの選手を高額で売却してきたが、遅かれ早かれ、ミトマも莫大な移籍金を残してステップアップを果たすだろう。
もっとも、シーズン始めにこのスタジアムに来た時は、ミトマが先発する可能性はほとんどなく、ミナミノのように試合に出場するかさえ分からなかった。ブライトンのファンに話を訊いても、この日本人アタッカーを「優秀なスーパーサブ」として認識していた。
だが、状況は一変した。この大一番のマッチデープログラムの表紙はミトマが抜擢された。数か月前では考えらなかったし、そんな選手ではなかった。だが、堂々と表紙を飾ったその姿を見るだけでも、彼の成長と人気ぶりが分かるというものだ。
前半、ミトマはボールを持つ度に脅威を与えていた。リバプールの右SBトレント・アレクサンダー=アーノルドはまるで付いていけなかった。イングランド代表をここまで翻弄するとは――。どれだけ危険な選手なのか。
後半にも、アレクサンダー=アーノルドを嘲笑うかのような突破を披露した。タフな午後を過ごしたリバプールの66番は、59分に交代を強いられている。
この試合のピッチには、モハメド・サラー、コディ・ガクポ、カタール・ワールドカップの優勝メンバーであるアレクシス・マク・アリステルなどの名手がいたが、最大のスターに見えたのはミトマだった。
極めつけは、アディショナルタイムに決めた信じられないタッチからの決勝弾だ。プレミアリーグに留まらず、ミトマは史上最高の日本人選手になるかもしれない――。そう予感させる、とてつもないパフォーマンスだった。
文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)
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