
人類がチンパンジーでなくなってから、私たちホモ・サピエンスが現れるまで。
知られざる約700万年間の歴史がわかる!
2022年12月22日に発売された児童向け図鑑『おどろきの700万年 人類の進化大百科』(偕成社)は、タイトルの通り、人類が生まれてからの約700万年の歴史を紐解いている。

人類がホモ・サピエンス1種類なのは、当たり前ではない!
いま人類はこの地球上に、私たちホモ・サピエンスのたった1種類しかいない。この事実は、現代の私たちにとっては当たり前のこと。だがそれは、人類史的なスケールで考えれば当然ではない。
イヌの仲間にオオカミやジャッカルなどがいるのと同じように、かつて人類にもホモ・サピエンスではない、しかし仲間といえるほかの人類が存在した。現在のようにホモ・サピエンスだけになったのは、ほんの数万年前から。それまではネアンデルタール人やホモ・フローレシエンシスなど、他の種の人類もいっしょに地球上に生きていたという。
では、それらの人類はどのように生まれ、どうやって生き、どうして消えていったのか? 本書は、「人類」の歴史を徹底的に掘り下げることで、そんな疑問に答えてくれる。
初期の人類には「土踏まず」がなかった

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たとえば、440万年前ごろの人類「アルディピテクス・ラミダス」について、体の特徴やどんな暮らしをしていたのかを解説。チンパンジーと人類を分ける大きな特徴は、「二足歩行」の可否。だが「アルディピテクス・ラミダス」にはまだ「土踏まず」がなく、上手には歩けなかったという。

420万年前ごろには有名な「アウストラロピテクス」が登場。ややショッキングな見出しが付けられているが、これは当時のリアルな生態。多く出産して個体数が増えることで、二足歩行で動きが遅くても、自然界で生きられるようになっていった。
このように、見開きごとに時代が進み、たくさんの人類が現れては消えていく。
また、過去の歴史というのは、遺跡などの物証・事実をもとにした、さまざまな仮説の上にとなえられている。そのためところどころに、「検証」のページがあり、「仮説を立てて予測をし、事実と照らし合わせてよい仮説をとる」という流れが解説されている。歴史を紐解くというのがどういうことなのかも、一緒に学ぶことができるようになっている。

生きていく上で脳は大きい方が有利、そのため脳の大きい種が生き残り、脳が大きくなるという進化をとげたと考えられるが、ではなぜ脳は大きくなったのか? ここでは2つの仮説を立てて検証・予測し、よい方の仮説を「よりよい仮説」としている。
「わかりやすさ」ピカイチの古生物学者が監修
本作を監修したのは、分子古生物学が専門の博士・更科功(さらしな・いさお)さん。東京大学教養学部基礎科学科を卒業後、民間企業での勤務を経て大学に戻り、東京大学大学院理学系研究科博士課程を修了した。