三重県北部の古民家のアトリエで、実際この世界に生きる、または生きた動物をモデルにその子にもう一度会えるような彫刻を目指す木彫り彫刻家のはしもとみおさん。はしもとさんの個展「はしもとみお 木彫展 -時をかけるケモノたち-」が、中央区銀座の「ギンザタナカ」銀座本店 5階ホールにてスタートした。

ジュエリーブランド「ギンザタナカ」では、2019年よりはしもとさんが原型を手掛ける「純金オブジェコレクション」“動物オブジェシリーズ” を展開。今回の個展には16種類を展開する “動物オブジェシリーズ” のモデルになった子や、2022年に制作したミニチュアルームに純金動物オブジェ11体を配置した作品「はしもとみお氏のアトリエで遊ぶ純金オブジェたち」も展示されている。
会場に入ると、壁面にはしもとさんが古民家のアトリエで制作する映像を投影し、目の前にそのアトリエが再現された「はしもとみお氏のアトリエで遊ぶ純金オブジェたち」を展示。ミニチュアルームはミニチュアクリエーターの北野トマレさんが2カ月かけて制作し、作業台や作業机、薪ストーブや収納スペースまではしもとさん本人が驚くほど忠実に再現している(何と北野さんは現地に直接訪れたことはないそう)。

中央には青森県鯵ヶ沢町の焼きイカ店「七里長浜きくや商店」で番犬として飼われて人気となった秋田犬(長毛種)「わさお」が等身大サイズでどど~んと鎮座する。奥には天国に行った動物たちが “空の上からこういう風に見てくれていたらいいな” という願いを込めて制作したというオーナメント。その隣には純金オブジェ「子ねこ」のモデルとなった「ウニちゃん」をはじめ、ミュージシャンが飼っている猫たちが集合した “猫町” エリアが。
会場の至るところに展示された黒い芝犬ははしもとさんの愛犬「月くん」。日本モンキーセンターのワオキツネザルくん、はしもとさんの “動物たちを眺めながら暮らしたい” という願望を実現したステージには羊さん、ヤギさん、エトピリカ……。今回の個展では動物彫刻作品24体、月に座る動物たちのオーナメント11点に加え、レリーフやスケッチなど計42点を展示している。


広告の後にも続きます
「ここには私が旅先で出会った子とか、仲間たちや友人が飼っているなど私が出会った子たちが集まっています。動物たちのお家に来たような感じで自由に過ごしてほしいです」とはしもとさん。会場内の動物たちは自由に触ったり写真撮影したりできるといい、まるで動物たちの息づかいが聞こえるようなあたたかみのある空間だ。
純金の原型制作は「初めての素材だったので最初は手探りだったんですけど、金になったオブジェを見るたびに “こういうことをすると素材が生きるんだ” ということが分かってきたので、新作の提案の時に “こういうほうがいい” という自分の意見を伝えられるようになりました。金になった時にいい作品を提案しなければならないので、今でもすごく勉強しながらやっています」という。ギャラリーだけでなく、店頭にもはしもとさんが原型を手掛けた純金動物オブジェがそろっているので、ぜひ彫刻との違いを見比べてみてほしい。
「はしもとみお 木彫展 -時をかけるケモノたち-」は「ギンザタナカ」銀座本店 5階ホールにて3月19日まで。入場無料。

成長した「モイくん」(右)と「ウニちゃん」
はしもとさんの愛犬「月くん」
トマトを食べるのが大好きなワオキツネザルくん

はしもとさんのアトリエのポイントとなっている薪ストーブには実際に灯りが点っている
収納棚にははしもとさんが気づいていなかったビニール傘まで再現
サウナ好きの北野さんが本当は本棚に置いていない『サ道』を忍び込ませる遊び心も
木彫彫刻家のはしもとみおさん