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心優しい村の司祭者への拭えない疑念「雨が上がったら早くこの村を出よう」

幻冬舎ゴールドライフオンライン

人類vs.機械。運命にあらがう2人の”少女”の過酷な戦いを描いたダークファンタジー、開幕! 恐怖の殺戮マシーンに人類はどう立ち向かうのか高度知的無機生命体・機械兵(アトルギア)に支配され、人口の95%が失われてしまった世界。放浪の旅をするエリサとゲイツは、幼き最高司祭者・サヤが統べるアオキ村へと辿り着く。当初は村人たちと距離のあった2人だったが、次第に打ち解け村を挙げての祭りに招待される。そんな折、村の近くで機械兵(アトルギア)の残骸が見つかり――。※本記事は、涼海風羽氏の書籍『雷音の機械兵』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

第一章 アオキ村の少女・サヤ

「だから君は話を最短距離でぶち抜きすぎなんだよ、エリサ」

「意思の伝達は簡潔にすべきだとゲイツが言っていたじゃないか。回りくどいから村人に怪しまれて殺されそうになった」

「いやまあ、そうなんですけどね? 君に愛想つう物(もん)があったら多少は変わったよ多分?」

「泣いて助けを求めた男がよく言う」

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庵(いおり)の突上げ窓から見える雨にこぼす溜め息。昼に降り出した雨脚は車軸を落とすがごとく勢いづいてきた。旅装(りょそう)は解いている。この状況では村を見て回るのは億劫というものだ。夕餉まで時はある。

手慰みにゲイツと雑な談話を片手間に広げた装備を手入れしていた。昼も馳走をたっぷりと食べたし動かなければ夜をいただくのは厳しいかもしれない。部屋は草を編んだ板状の敷物が床に延べられている。さほど広さはないが旅人二人が荷物を広げてもくつろげるだけの空間は残った。隅で鉄工具の整備を終えたゲイツは額から保護眼鏡(ゴーグル)を取って磨きだす。

「幽閉だなんて言っちゃ駄目だぞ」

自分のことではないか。エリサは言った。

「穏便に済ませたいならむやみに現地人を刺激しない」

「山が離しません。天に人は抗えません、ねえ」

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